カーリングの混合ダブルスの日本代表決定戦は来年2月のミラノ・コルティナオリンピックの残る2つの出場枠をかけて、ことし12月にカナダで行われる世界最終予選に出場するペアを決めるため北海道稚内市で行われました。

予選リーグの上位2組による決定戦は、予選から持ち越した対戦成績で小穴・青木ペアが2勝1敗と王手をかけた状態で28日午前、第2戦が行われました。

試合は序盤から点の取り合いになり、松村・谷田ペアが第1エンドに2点をスチールしたのに対して、第2エンドには小穴・青木ペアが3点を奪うビッグエンドをつくりました。

4対4の第6エンドには小穴・青木ペアが1試合に1エンドだけ選択できる、得点を取りやすい位置にストーンを置いてエンドを始められる「パワープレー」で2点をとって勝ち越しました。

一方の松村・谷田ペアは第7エンド、パワープレーを選択し、次の最終エンドが不利な先攻で始まることを見据え3点以上の得点をねらってストーンを配置していきました。

しかし小穴・青木ペアの確実なテイクアウトショットで想定したようにチャンスを広げられず、得点が2点にとどまりました。

そして最終の第8エンドはスチールをねらう松村・谷田ペアに対し、小穴・青木ペアがハウスの中心に的確にストーンを集めるなど堅実な作戦で相手に中心を譲りませんでした。

最後は松村選手のラストショットが中心に寄らず、小穴・青木ペアが1点を取って7対6で競り勝ち、対戦成績を3勝1敗として日本代表に決まりました。小穴・青木ペアは世界最終予選でこの種目の日本勢として初のオリンピック出場を目指します。

小穴桃里「ここぞの場面でショットを決められた」

小穴桃里選手は「複数得点をされそうな場面をしのいで、ここぞの場面でショットを決められたことが勝利につながった。家族やスポンサーの方など多くの声援が聞こえていてとても心強かった」と喜びを口にしました。

小穴選手は取材に対して、27日からみずからが投げる3つのストーンを、予選リーグでは使っていなかったものに変えて臨んでいたことを明らかにしました。

これについて「使っていなかったストーンのほうがより曲がることがわかっていた。『大きなばくち』と言えるものだったが、最後に大きく曲げて円の中心に入れたい場面が来ると思い、決定戦から使った」と話しました。

さらに「きのうは氷に合わせることに苦労したが、2試合目となって慣れてきて、最終の第8エンドでは大きく曲げて勝利につながるここぞという場面でのショットができた。『ラストピース』が埋まっての勝利だった」と大一番に照準を合わせた「秘策」だったと打ち明けました。

青木豪「勝ててほっとしている」

青木豪選手は「勝ててほっとしている。きのうの試合で負けたあとに早く寝ることと、いつもの夜の習慣を守ってふだんのペースを保つことを心がけて臨んだ。その結果、いい緊張感につながり勝つことができた」と笑顔で振り返りました。

小穴選手がストーンを変えたことについては「投げる方は難しいが、掃くか掃かないか判断する方も難しい。きのうの試合と展開が似ていたこともあって、この試合ではうまくいってよかった」と話していました。

そのうえで世界最終予選については「オリンピックは夢の舞台なので絶対に行きたい気持ちはあるが強く思いすぎると空回りする自分がいるので、オリンピックを考えずに目の前の試合に勝つことに集中したい」と意気込んでいました。

松村千秋「最後を決められずに悔しい」

松村千秋選手はラストショットを担ったみずからのプレーを振り返り「最後のショットを決めきれずにチャンスを自分たちに引き寄せることができなかった。谷田康真選手がいいプレーをしてくれたので、最後を決められずに悔しい。ただ大会はすごく楽しかったし、この場に立てて皆さんに試合を見てもらえて本当に幸せでした」と涙を流しながら話しました。

そして小穴桃里選手と青木豪選手のペアをたたえた上で「長い間、しのぎをけずってきたし、小穴・青木ペアがいたから私たちもレベルアップできた。本当に大好きなペアなので、私たちが果たせなかったオリンピックという目標に全力で向かってほしい」と話しました。

また「本当に悔しいが、谷田選手とダブルスを組むと決めてからカーリング選手としても人としても成長させてもらった。夢を追いかけられたのも、このチームだったからだし今までやってきたことは間違っていなかった」と話していました。

谷田康真「いいプレーをした中でそれを上回ってきた」

谷田選手は「もともと強い小穴・青木ペアがさらに力をつけて、僕らと同じようにオリンピックの舞台でメダルをとることを目標にやってきたんだなというのを肌で感じた。僕らもいいプレーをした中で、それを上回ってきた小穴・青木ペアは、必ずオリンピックに行ってくれると思うし、それを全力で応援したい」と晴れやかな表情で話していました。

そして「混合ダブルスで絶対にオリンピックに行くという覚悟を持って戦ってきた。結果的にオリンピックへの道はたたれたが、こんな経験はなかなかできないし、世界選手権のメダル獲得やオリンピックの決定戦など、この道を歩まないと見えない景色をたくさん見ることができたので人生の財産になったと思う」とこれまでの歩みを振り返っていました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。