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10月30日(日本時間)にロサンゼルスで行われたワールドシリーズ第5戦は、1対6でトロント・ブルージェイズがロサンゼルス・ドジャースを破り、32年ぶりのワールドシリーズ制覇に王手をかけた。
ドジャースはニューヨーク・ヤンキース(1998年〜2000年)以来のワールドシリーズ連覇に黄色信号となった。

WS第4戦1番・投手兼DHで出場した大谷選手 この記事の写真は18枚

第5戦までに山本由伸投手(27)が24年ぶり同一ポストシーズンで2試合連続の完投勝利や大谷選手が119年ぶりの記録となる1試合4本の長打(HR2本)を放ち、さらに自身初のワールドシリーズでマウンドにあがるなど白熱した戦いが続いている。

メジャーの頂点に登りつめたチームの選手らにしか手にすることができないチャンピオンリングについて、その歴史やデザイン、リングを手にした日本人選手を紹介!

記念すべき第一回WSはチャンピオンリングではなく…

記念すべき第1回MLBワールドシリーズ(1903 年)

ワールドシリーズを制覇した選手や監督・コーチ、球団職員などの関係者に対して、その記念としてチームからチャンピオンリングが贈られることが恒例となっているが、実はワールドシリーズが始まった頃は、そのようなリングはなかったという。

1903年に第一回ワールドシリーズに行われ、優勝したボストン・アメリカンズ(現在のボストン・レッドソックス)対して、ボストン・グローブ紙から腕時計ホルダーが選手達に贈られたのが始まりだといわれている。
その後、当時運営を行っていたナショナル・コミッションがダイヤモンドを埋め込んだ「ラペルピン」を製作し、選手が身に着けられる実用的な記念品となった。

1923年に贈られたチャンピオンリング(写真左)

最初のチャンピオンリングは、1923年に前年WS制覇を果たしたニューヨーク・ジャイアンツ(現在のサンフランシスコ・ジャイアンツ)に贈られた。
14金のリングには、野球のダイヤモンドの中央にダイヤモンドが一粒、その両側に交差したバット、ボール、グローブなどがあしらわられ、「Giants World Champions 1922」の文字が横に大きく刻まれている。
この中央にダイヤモンドが入ったデザインが現在のチャンピオンリングの基礎となるが、その後のチャンピオンチームの中には、リングではなく懐中時計などを選ぶチャンピオンチームもいた。

米野球殿堂博物館 歴代チャンピオンリング

1926年にセントルイス・カージナルスがチャンピオンリングのデザインに初めてチームのシンボルを取り入れ、1931年にカージナルスが、再びチャンピオンになった以降はチャンピオンチームがリングを受け取るのが通例となった。
その後、チームのイニシャルをリングの中心に据えるなど、デザインが改良されていた。

本拠地へのリスペクト ドジャースのチャンピオンリング

近年のチャンピオンリングのデザインとして去年ワールドチャンピオンに輝いたドジャースのチャンピオンリングを紹介する。

ドジャース公式Xより PALM TREES THAT ARE SYNONYMOUS WITH THE CITY OF LA
ロサンゼルスの象徴であるヤシの木を表現

ICONIC DODGER STADIUM SIGN
ドジャースタジアムの象徴的なサイン

8 DIAMONDS SYMBOLIZE 8 WORLD CHAMPIONSHIPS
8つのダイヤモンドは、8回のワールドシリーズ制覇を表現

SUNBURST SHAPE THAT REPRESENTS THE SUNNY CLIMATE OF LA
ロサンゼルスの太陽のような気候を表すサンバースト(放射状)デザイン

PAYS HOMAGE TO THE HOME OF THE DODGERS
ドジャースの本拠地であるロサンゼルスへの敬意を表すデザイン

A PIECE FROM THE BASES USED IN THE WORLD SERIES
ワールドシリーズで実際に使用されたベースの一部を埋め込み

COMMISSIONER’S TROPHY CELEBRATING THE 2024 WORLD SERIES
2024年ワールドシリーズ優勝を祝うトロフィー

34 SAPPHIRES HONOR THE LATE DODGERS PITCHER, FERNANDO VALENZUELA
ドジャースで活躍した故フェルナンド・バレンズエラ氏を称える34個のサファイア

IPOSTSEASON LOGOS AND FINAL SCORE
ポストシーズンのロゴと最終スコア

PLAYER’S UNIQUE SIGNATURE
各選手のサイン

5 DIAMONDS REPRESENT THE 5 RUNS THE DODGERS OVERCAME TO WIN THE WORLD SERIES
5つのダイヤは、ドジャースがワールドシリーズ優勝のために逆転した5得点を表現

YEAR DATES 1883 AND 2024 PAYING TRIBUTE TO 142 SEASONS
1883年と2024年の刻印は、142シーズンの歴史への敬意

チャンピオンリングの様々なモチーフは、西海岸に本拠地を置く歴史のある名門チームを象徴するリングと言えるだろう。
またチャンピオンリングを保管するケースは、フタを開けると上部内側にモニターが組み込まれていて2024年のハイライト映像が流れる仕組みになっている。

チャンピオンリングの保管ケース 広告 ■世界一の称号を手にした日本人選手

■世界一の称号を手にした日本人選手

ワールドシリーズMVPに輝いた松井秀喜氏(2009年)

この世界一の称号は、日本人選手第1号の伊良部秀樹氏(1998年・ヤンキース)を皮切りにこれまでに13人いる。
中でも、ワールドシリーズMVPに輝いた松井秀喜氏(2009年・ヤンキース)や日本人選手初の胴上げ投手となった上原浩治氏(2013年・レッドソックス)が皆さんの記憶に残っているのではないだろうか。
また、レギュラーシーズン途中で他のチームへ移籍し、ワールドシリーズ制覇時に在籍していなくてもチャンピオンリングを贈られることがあり、高津臣吾氏(2005年)や青木宣親氏(2017年)が手にしている。

日本人選手初の胴上げ投手となった上原浩治氏(2013年) ■チャンピオンリングを獲得した日本人選手(2024年時点)
伊良部秀樹(2) ヤンキース(1998年、1999年) ※WS出場なし
井口資仁(2) ホワイトソックス(2005年)、フィリーズ(2008年)
田口壮(2) カージナルス(2006年)、フィリーズ(2008年)
高津臣吾(1) ホワイトソックス(2005年) ※シーズン途中で移籍
松坂大輔(1) レッドソックス(2007年)  ※日本人選手初のWS勝利投手
岡島秀樹(1) レッドソックス(2007年)
松井秀喜(1) ヤンキース(2009年) ※日本人選手初のWSMVP
上原浩治(1) レッドソックス(2013年) ※日本人選手初のWS胴上げ投手
田澤純一(1) レッドソックス(2013年)
川崎宗則(1) カブス(2016年) ※WS出場なし
青木宣親(1) アストロズ(2017年) ※シーズン途中で移籍
大谷翔平(1) ドジャース(2024年)
山本由伸(1) ドジャース(2024年)

■メジャーリーガーではないあの人も?

ちなみにナ・リーグのチャンピオンリングにはなるが、メジャーでのプレー経験がなくチャンピオンリングを贈られた人物がいるのをご存知だろうか。

それが、ヤクルト一筋で名捕手として活躍した古田敦也氏だ。

ナ・リーグのチャンピオンリングを着ける古田敦也氏(2024年6月9日放送「サンデーLIVE!!」より)

古田氏は、2023年から2年連続でダイヤモンドバックスの春季キャンプで臨時コーチを務めた。
ダイヤモンドバックスのロブロ監督は古田さんとヤクルトで共にプレーした経験があり、その縁からロブロ監督が古田氏に臨時コーチを依頼した。
臨時コーチを終えた古田氏が「もしダイヤモンドバックスが優勝したら、チャンピオンリングを日本に贈ってください」とロブロ監督と約束をしていた。

「FURUTA」と刻まれたチャンピオンリング(2024年6月9日放送「サンデーLIVE!!」より)

そして、2023年にロブロ監督の指揮のもとダイヤモンドバックスがフィリーズを破り、ナ・リーグ王者に輝き、古田氏にはダイヤモンドが72個も入り、「FURUTA」と刻印されたチャンピオンリングが贈られた。

■大谷選手、山本投手が日本人選手の最多タイ記録に並ぶか

WS第3戦 試合後の大谷選手、山本投手、佐々木投手

2勝3敗で後がない大谷選手や山本投手、佐々木朗希投手(23)を擁するドジャースは、11月1日(日本時間)にトロントで第6戦を戦う。
ドジャースはワールドシリーズ連覇なるか。
大谷選手と山本投手が日本人選手の最多タイ記録となる2つめのチャンピオンリング獲得できるか。
ドジャースがワールドチャンピオンに輝き、来年の贈呈式で贈られるチャンピオンリングにもぜひ注目してほしい。

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