沖縄尚学は1回戦で115球を投げて完封した2年生エースの末吉良丞投手ではなく、同じ2年生の新垣有絃投手が先発しました。
新垣投手は1回、先頭バッターにいきなりツーベースヒットを打たれるなど1アウト二塁三塁のピンチを背負いましたが、後続を連続三振に抑えて切り抜けました。
打線は直後の2回、1アウト一塁から7番の宜野座恵夢選手がタイムリーツーベースヒットを打って先制しました。
援護をもらった新垣投手は140キロ台の速球とキレのある変化球を織り交ぜて5回まで毎回の8つの三振を奪う好投を見せました。
6回からはエースの末吉投手が登板し、毎回のようにヒットを打たれましたが要所を締めて得点を許しませんでした。
9回にも宜野座選手のタイムリーで2点を追加した沖縄尚学は2年生2人の投手リレーで完封し、3対0で勝って3回戦に進みました。
鳴門は3回からマウンドに上がったエースの橋本朋來投手が粘り強く投げましたが、打線が毎回のようにランナーを出しながら相手のピッチャーを捉えきれませんでした。
《沖縄尚学》
新垣有絃投手「ゼロで抑えきれてよかった」
先発して5回無失点、毎回の8つの三振を奪う好投を見せた沖縄尚学高校の新垣有絃投手は「なかなかストライクゾーンにまとまらずに苦しい場面が多かったですが、しっかりゼロで抑えきれたのはよかったです」と安心したような表情で話していました。
また立ち上がりのピンチをしのいだことについては、センバツ大会の2回戦で先発し1回に3失点してマウンドを降りたことに触れ「初回に打たれてしまったら成長していないと思ったので、抑えてやろうという気持ちで投げました。ピンチの場面でも落ち着いてマウンドにいられるので、メンタル面は成長しました」と自信をのぞかせていました。
同じ2年生の末吉良丞投手との継投になったことについては「ピッチャー陣は2年生しかいないので、3年生を勝たせてあげようという気持ちで投げました。お互い刺激し合っています」と話していました。
また兄でファーストを守る新垣瑞稀選手について聞かれると「お兄ちゃん、瑞稀の最後の夏なので、自分がいいピッチングをして一番長い夏にできたらいいなと思います」と意気込んでいました。
末吉良丞投手「ゼロを並べることができてよかった」
1回戦は9回を投げ抜いて完封し、14日は6回からリリーフして無失点で完封リレーを締めた沖縄尚学高校の末吉良丞投手は「コンディションはよくはなかったですが、ゼロを並べることができたのがよかったです。一番はまっすぐがよかったと思っていて、浮いてはいましたが伸びや力があって空振りを取ったり押し込んだりできました」と話していました。
また先発した同じ2年生の新垣有絃投手との継投になったことについては「有絃が5回までしっかりリードを守ってくれてゼロでつないでくれたので、自分もゼロを並べることを意識してマウンドに上がりました。『いつでも準備はできているよ』という声かけはしていました。自分たちピッチャー陣が目標にしている、スコアボードにゼロを並べるということができたのでよかったです」と2試合連続での完封勝利を喜んでいました。
新垣瑞稀選手「兄弟で甲子園の舞台 楽しみながら頑張りたい」
沖縄尚学高校の1番・ファーストで出場した新垣瑞稀選手は先発した新垣有絃投手の兄で、この試合、兄弟そろっての先発出場となりました。
弟が先発したことについて「立ち上がりは不安でしたが、ピンチでも粘り強く投げてくれました。後ろから見ていて、とてもたくましかったです」と話していました。
1回の1アウト二塁三塁のピンチでマウンドに集まった場面では弟の背中をたたきながら声をかけていて「『気合い入れて投げろ』と声をかけました。有絃は強い言葉かけたほうが気持ちを入れて投げることができるので」と振り返りました。
そのうえで「兄弟で甲子園の舞台で試合ができるのは今回が最後なので、できるだけ長く楽しみながら頑張りたいです」と意気込んでいました。
比嘉公也監督「粘り強い野球をやっていきたい」
沖縄尚学高校の比嘉公也監督は新垣有絃投手から末吉良丞投手への2年生の2投手の投手リレーで勝利したことについて「センバツから末吉1枚では夏は厳しいということで、新垣には数多く実戦を積ませてきたので、よく粘り強く投げて成長したんじゃないかなと思います」と褒めていました。
今後に向けては「センバツでは1点差という悔しい負け方をしたので、だからこそ1点の重さというものはチーム全体で把握している。なんとか1点を取って点を与えないという粘り強い野球をやっていきたい」と意気込んでいました。
《鳴門》
辻侑成投手「来年も甲子園に戻ってチームのために投げたい」
鳴門高校の先発で2年生の辻侑成投手は2回1失点だったピッチングを振り返り、「変化球を低めに投げて打たせてとる投球を意識していましたが、自分が抑えて流れを作りたいという気持ちが先走りふだんのピッチングができませんでした。よかったところはありません。悔いの残る試合でした」と目に涙を浮かべながら悔やんでいました。
そのうえで、「来年も絶対に甲子園に戻ってきて、きょう経験したことを生かして自分の気持ちだけで投げず、チームのために投げたい」と来年への思いを語りました。
橋本朋來投手「焦りが出てコントロールが乱れた」
鳴門高校のエースで3回から登板し、9回まで投げて2失点だった橋本朋來投手は「いつでもいけるように準備はしていましたが、9回は無失点で抑えて流れを作りたいという焦りが出てしまい、コントロールが乱れて点を取られてしまいました」と悔やんでいました。
そのうえで、「みんなで『全員で自信を持って楽しく試合をしよう』と話していました。しっかりと自分たちの試合ができたのでよかったです」と涙で目を赤くしながら話していました。
また、14日の先発メンバーのうち2年生が6人と後輩たちがもり立ててきたチームについて、「2年生の力でここまで来られたので、自信を持ってプレーしてほしい。来年は、自分たちができなかった2回戦突破を期待しています」とエールを送りました。
岡田将和監督「新垣投手を攻略できなかったのが敗因」
鳴門高校の岡田将和監督は「得点できるチャンスは何度かあったが結果としては無失点で抑えられてしまったので投手力の高さを感じた。先発だった新垣有絃投手のスライダーを攻略できなかったのが敗因ではないか」と振り返りました。
3回から登板したエースの橋本朋來投手については「想定よりも長い回を投げさせてしまったが、最後までよく投げてくれた」とたたえていました。
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