■クイーンズ駅伝2025(23日、宮城県松島町~仙台市 全6区間、42.195km)

駅伝女王”を決めるクイーンズ駅伝(第45回全日本実業団対抗女子駅伝)が行われ、エディオンが悲願の初優勝。32回目の挑戦にしてようやく実業団駅伝女王の称号を手にした。

8年連続出場のエディオンは一昨年は10位、昨年は5位。今年は1区から3区までトップでたすきをつなぎ、4区で一度2位に落ちるも5区の細田あいで逆転。6区の平岡美帆がトップのまま逃げ切り、フィニッシュテープを切った。

レースは宮城県松島町文化観光交流館前をスタートし、仙台市弘進ゴムアスリートパーク仙台(仙台市陸上競技場)にフィニッシュする全6区間42.195km。2年連続優勝を目指すJP日本郵政グループ、女王奪還を狙う積水化学、唯一初出場となる愛媛銀行など24チームで争われた。上位8チームが来年度の出場権を獲得できるシード権(クイーンズ8)を得られる。

晴天に恵まれ、気温は13℃、湿度50%と最高のコンディションとなった。レース展開を握る1区(7.0km)から豪華メンバーがそろった。連覇を狙うJP日本郵政グループは1区にルーキーの谷本七星(23)を起用、スタート前にはメンバーを外れた鈴木亜由子(34)がそばについて声をかけていた。

最初の1㎞はエディオンの水本佳菜(20)がレースを引っ張り、JP日本郵政の谷本、そして、東京世界陸上でも活躍した三井住友海上の樺沢和佳奈(26)、積水化学の山本有真(25)と注目選手も先頭集団に入った。だが3.3㎞付近で谷本は苦しい表情を浮かべて、先頭集団についていけず。さらに樺沢は第2集団からも遅れた。

4.5㎞付近で積水の山本、エディオンの水本、天満屋の吉薗栞(25)が抜け出した。5.4㎞で山本の口が開き始めてペースが落ちていった。ここで水本がトップに立ち、徐々に後続との距離を引き離し、20歳の若きエース候補が区間記録まであと3秒に迫る好走で区間賞を獲得した。

2位は天満屋、3位が豊田自動織機、積水化学はトップと36秒差の7位。JP日本郵政は1分差の14位、そして、三井住友は19位と波乱となった。

2区(4.2km)、エディオンはルーキーの塚本夕藍(19)、1区の水本とは大阪薫英女学院高で先輩後輩のコンビ、先輩からタスキをもらうと自分のペースをキープ。2位には積水の木村友香(31)、ユニクロの後藤夢(25)の東京世界陸上代表が2位集団で塚本を追いかけた。

エディオンの塚本がトップでタスキリレー。19秒差で2位の積水、3位はユニクロとなった。区間賞は8人抜きの三井住友の西山未奈美(25)が獲得、チームも11位に順位を上げた。

エース区間の3区(10.6km)、三井住友の西山からタスキをもらったのが、実業団駅伝デビューとなった不破聖衣来(22)、序盤は自分のリズムで走った。

上位陣は混戦、3.5㎞付近で資生堂の五島莉乃(28)が8位でタスキを受けると、前半から飛ばして一気に6人を抜き2位に浮上。JP日本郵政の廣中璃梨佳(24)は10位でタスキを受けたが6人抜きで4位、そして、4.2㎞付近で東京世界陸上マラソン代表の佐藤早也伽(31)を抜いてチームを3位まで押し上げた。

9.5㎞付近で三井住友の不破が一気に5人抜きで11位からシード権内の6位までチームを引きあげ、中継所手前で女子マラソン日本記録保持者の天満屋・前田穂南(29)を抜き、チームを5位に引き上げる好走を見せた。

トップのエディオン・矢田みくに(26)、東京世界陸上10000m代表の経験を生かし、単独走でもリズムを崩さず、トップのままつないだ。2位には区間新記録をマークした資生堂の五島、JP日本郵政の廣中が3位でタスキリレー。

4区で日本郵政に抜かれるも逆転で逃げ切る

4区(3.6km)、JP日本郵政のK.カロライン(21)は3位でタスキをもらうと、すぐに2位の資生堂を抜き、1.3㎞でエディオンも捉えて、去年の女王が初めてトップに立った。そこからスピードは落ちずに10分38秒と区間新記録をマーク。JP日本郵政は2区間連続区間新と驚異の追い上げでトップに浮上。

5区(10.0km)はトップのJP日本郵政は去年フィニッシュテープを切った太田琴菜(30)を起用。中盤の5㎞では40秒差とほとんど差は変わらず、安定した走りを見せた。残り2㎞付近でやや疲れが見えてスピードが落ちると、2位のエディオン・細田あい(29)が詰め寄り、残り600mで6秒差。そして、残り400mでエディオンの細田が区間賞の走りで逆転し、トップでタスキリレー。JP日本郵政は6秒差の2位でアンカーにつないだ。

アンカーの6区(6.795km)、逃げるエディオンに、追うJP日本郵政。エディオンは平岡美帆(25)、JP日本郵政はルーキーの小暮真緒(23)。ゴール地点では両チームの選手が集まってレースを観戦。エディオンは早くも涙をためる選手が。JP日本郵政は鈴木亜由子が「大丈夫、大丈夫」と中心になって声をかけていた。

残り1㎞でトップはエディオン、そして14秒差でJP日本郵政、最後まで激戦となったクイーンズ、先頭でエディオンがスタジアムに入ってくると、後ろから追い上げてくる小暮を振り切り、優勝のフィニッシュテープを切った。

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