■ミラノ・コルティナパラリンピック推薦内定選手会見(25日、東京・日本財団ビル)
来年3月に開幕するミラノ・コルティナパラリンピックに向けて、アルペンスキー、ノルディックスキー(クロスカントリースキー・バイアスロン)、スノーボード、3競技の推薦内定選手18人が25日、都内で行われた記者会見に出席した。
パラリンピック8大会連続出場・新田佳浩(45)
これまでパラリンピックに7大会出場し、金メダル3つ、銀1つ、銅1つを獲得した新田佳浩(45、日立ソリューションズ)は「1日1日を過ごして、自信を持ってスタートに立つということを目標に頑張りたい」と、8大会目となるミラノへ向け意気込んだ。
新田は3歳の時、祖父の運転する稲刈り機に巻き込まれ、左ひじから先を切断した。責任を感じる祖父に対し、新田は「おじいちゃんに金メダルをかけてあげることによって気持ちを少しでも楽にしてあげたい」という一心で、クロスカントリースキーに打ち込む。そして17歳で1998年の長野大会に出場し、8位入賞を果たすと、2002年では5㎞クラシカルで銅メダルを獲得。10年バンクーバー大会では2種目で金メダルに輝き、祖父の首に金メダルをかけるという夢を実現した。さらに18年平昌大会でも10㎞クラシカルで金メダルを獲得するなど、数々の輝かしい実績を残してきた。
“雪上のマラソン”とも言われるクロスカントリースキー。そんな過酷な競技に、45歳の新田が挑み続ける理由を明かした。「自分の技術の完成系が分からないからこそ、もっと上手になるんじゃないかと思って続けているので、年齢的にも昔は速く動けてたなって思うんですけども、でもそれ以外にいろんな気づくポイントがあると思うので、だからこそ僕は続けられてるのかなというふうに思います」
パラリンピック7大会連続出場・森井大輝(45)
アルペンスキーでミラノパラの推薦内定選手になった森井大輝(トヨタ自動車)も、新田と同じ45歳だ。
森井は16歳の時、事故により脊髄を損傷し車いす生活となった。それでもパラアルペンスキーで、2002年のソルトレークシティ大会に初出場すると、06年トリノで銀メダルに輝いた。これまで6大会連続出場を果たし、銀メダル4つ、銅メダル3つを獲得した。
今シーズンは順調に滑れていると話した森井。7大会目となるミラノでは悲願の金メダル獲得を目指す。「パラリンピックに向けては金メダルを目指してと言いますか、どの種目でもいいので(金メダルを)目指せるように調子を上げていきたい」
座位のカテゴリーで出場する森井は「チェアスキー」と呼ばれるマシンに乗り、時に時速100キロを超える速度で雪面を滑り降りる。「転んだり怪我をすると、若い頃は寝て目が覚めれば治ってたのが、逆に翌日目が覚めるともっと痛くなってることが多くなってきた」と語る。45歳の今なお、競技を続ける理由は「ただただスキーが好きだっていうところですね。なおかつ僕の場合はプラスアルファ用具を改善したり、もっともっと速くなったり上手くなったりすることができると思ってますし、実際にそうなっているので、そういったところがすごく楽しいなというふうに思って競技を続けています」と明かした。
ミラノ・コルティナパラリンピックは来年の3月に開幕する。45歳の新田と森井がどんな滑りを見せてくれるのか、期待したい。
*トップ写真は、森井大輝選手(左)と新田佳浩選手(右)
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