「ハラスメントが起こるというのは、暴力と同じで “構造の問題” なんです。その人がハラスメントを起こしてもいいと思った『構造、土壌、文化』がそこには存在しています」
「子どもをスポハラから守る」と題した講演会で訴えたのは、法学者の谷口真由美さん。
人権や政治をはじめとする社会問題を、“大阪のおばちゃん目線” で鋭く突っ込むコメンテーターとしての顔も持つが、ラグビー新リーグ「リーグワン」の立ち上げに携わるなどスポーツにも造詣が深い。
2024年に立ち上げたスポーツハラスメントZERO協会では代表理事を務め、「スポーツハラスメントZERO検定」といった学びの場を提供するほか、不適切指導をした人への復帰支援なども行っている。
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「週に6日も7日もスポーツをさせているのは人権侵害です。仕事でも残業時間がものすごく問題になっていて、効率的に能率的に合理的に、って言葉がこれだけ社会にあるのに、なぜ子どもたちだけが長時間拘束されるのか。週7日も練習させるクラブは指導者が下手くそや、と私は認識しています」
一部の指導者や保護者に見られる、「子どもの人権」への意識の欠如に対して、“大阪のおばちゃん” から鋭い突っ込みが入った。
スポハラ受けた選手 指導者として加害側に
筆者が日ごろスポーツ取材を重ねていると、有識者の多くが口にする言葉がある。
「選手時代にハラスメントを受けた被害者が、指導者になって次は加害者になる」というものだ。谷口さんの見解も、こうした見方と重なっている。
「大人の皆さんも傷を負っている、ということを認識した方がいいと思います。(指導者が)自分が今あるのは、あの時先生が泣きながら殴ってくれたからだと思っている。暴力が内面化している方が多い。その人の横に立って、おかしいことはおかしいと言える人を増やしていかなきゃいけない」
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