■過去最多のメダル獲得へ! これまで日本が得意としなかった種目でメダルの可能性が
世界陸上での日本勢のメダルは、1大会で4個がこれまで最多でしたが、今回はこれを超えるかもしれません。というのも、日本選手が苦手としていた種目で期待が高まっているからです。
その1つが「3000メートル障害」、走るのは三浦龍司選手です。
この競技は近世ヨーロッパで始まった、村から村へと走るレースが起源で、集落の垣根や柵を飛び越えたり、小川を渡ったりする状況を人工的に再現したものです。
高さ91.4センチの障害を28回、深さ50センチ・⻑さ3メートル66センチの水濠を7回越えます。
この種目は⻑身の選手が有利とされていますが、三浦選手は168センチと小柄ながらも、ブレない体幹と広いストライドを武器に、今季世界3位のタイムを出していて、メダルが狙える位置につけています。
そして日本選手にとって、「最もメダルが遠い種目の1つ」とされていた、110メートルハードルでも、今季世界2位の記録を叩き出している村竹ラシッド選手にメダルの期待がかかります。
3000メートル障害や400mハードルなど、障害を飛び越えて走る種目の中で最も高い、106.7センチのハードルを越えなければならず、跳躍力と短距離のスピードが両方求められます。村竹選手は、ハードラーとしては179センチと小柄ながら、技術力でそれをカバーして、世界陸上で歴史を変える戦いに挑みます。
【種目別 障害の高さ】
3000メートル障害:91.4センチ
400メートルハードル:91.4センチ
110メートルハードル:106.7センチ
■日本の得意競技でもメダルの期待が
一方、世界陸上においてマラソンの14個に次ぐ9個のメダルを獲得している、日本の新たなお家芸「競歩」では、35キロで日本記録を持つ川野将虎選手と、20キロで世界陸上2019年、22年大会を連覇した世界記録ホルダー・山⻄利和選手に金メダルの期待が。
女子やり投げでは、前回大会とパリ五輪で金メダルに輝いた北口榛花選手が、右肘のケガから8月に復帰したばかりですが、連覇に期待がかかります。
さらに、男子4×100mリレーは、世界最高のバトンパス技術で、17年・19年大会で銅メダルを獲得していて、3大会ぶりのメダルが期待されています。
【男子4×100mリレー】
2008年・北京五輪銀メダル
2016年・リオ五輪銀メダル
2017年・世界陸上銅メダル
2019年・世界陸上銅メダル
■世界陸上で新記録誕生の瞬間も?
他国のトップアスリートに目を向けると、新たな世界記録も生まれそうです。
信号機の高さを軽く飛び越えていく棒高跳び。スウェーデンのA・デュプランティス選手は、20歳の時、あの「鳥人ブブカ」の世界記録を破って以降、世界記録を1センチずつ更新していて、8月には13回目となる記録更新で、6メートル29センチを跳んでいます。
通常の選手より固いポールを使用していますが、それを扱える筋力と、助走スピードの圧倒的な速さを兼ね備えていることで、天井知らずの記録を生み出しています。
▼棒高跳 A・デュプランティス(25) スウェーデン
・世界陸上:金メダル2回・銀メダル1回
・オリンピック:金メダル2回
そして前回大会とパリ五輪で優勝した、走り高跳びのY・マフチク選手。
▼走高跳 Y・マフチク(23) ウクライナ
・世界陸上:金メダル1回・銀メダル2回
・オリンピック:金メダル1回・銅メダル1回
母国ウクライナの国旗と同じ⻘と⻩色のアイメイクも話題になりました。競技の合間に横になって目を閉じる姿から、「眠れる森の美女」というニックネームもついた選手ですが、2024年、この種目では37年ぶりとなる、2メートル10センチの世界記録を更新していて、さらなる記録更新も期待されています。
9日間の熱戦で、新記録はいくつ飛び出すのでしょうか。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。