福井の9.98スタジアムで行われた陸上の「アスリート・ナイト・ゲームズ」の男子100m決勝(16日)で、栁田大輝(22、東洋大)が10秒00(+0.3)をマーク。自己ベストを0秒02更新し、東京世界陸上の参加標準記録(10秒00)をクリアした。

さらに同日の予選では追い風参考記録も“9秒92”を叩き出し、“日本記録超え”のタイムにスタジアムでは衝撃が走った。追い風3.3mの結果を目の当たりにした栁田は「まじかー!」とトラック上で悔しさをにじませたが、気持ちを切り替えて決勝でも快走をみせ、会場のファンを沸かせた。

大会を終えた栁田は「こんなに喜べない9秒92と10秒00ってあるんだなって」と気持ちを吐露した栁田は、“悔しい?”の質問に「何とも言えないですね」と答え、素直に喜べない様子だった。決勝で10秒00を出した直後もトラック上にしばらく座り込んだ。

栁田は東京世界陸上(9月)の代表選考会でもあった日本選手権(7月)で、優勝候補と言われながらも、予選でフライングにより無念の失格。世界陸上3枠の代表争いは、日本選手権を制し、富士北麓ワールドトライアル(8月3日)で9秒99を出した桐生祥秀(29、日本生命)が1番手、同レースで10秒00を出し日本選手権7位の守祐陽(21、大東大4年)が2番手、パリ五輪準決勝で9秒96を出したサニブラウン アブデルハキーム(26、東レ)が3番手で圏内にいる。

逆転で代表入りを狙うにはサニブラウンの記録を超え、日本記録(9秒95)を出す必要があった。「日本記録、日本記録って頭の中でずっと考えていたら、多分いいことないんで、(自己)ベストを出そうというくらいの気持ちで。(結果的に)ベストは出たんですけど...」と求めていたタイムではなく、笑顔は少なめだった。

9秒92という記録については「いやあ、本当になんて言っていいですかね…。本当はもっと喜ばなきゃいけないタイムなんでしょうけど。(9秒)92で満足できないっていうのを自分で言うのもあれですけど、伸びしろというか、風に強く押されて出たという訳でもないかなと思うので、いつかは出せるタイムだと思いますし、(10秒00の)ベストもほぼ無風の状態で出したので。落ち込みたいですけどほどほどにしたいなと思います」と手応えもつかんでいたようだ。

東京世界陸上の出場資格を得る上で、記録の有効期間が8月24日までで、あと1週間に迫る中、「最後の悪あがきをしたいなとは思ってます。最後の望みをかけるじゃないですけど」とギリギリまで挑戦し続けると話した。

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