九州電力は24日、インターネットイニシアティブ(IIJ)などと共同で地域分散型データセンター(DC)の構築や検証についての実証試験を10月から始めると発表した。福岡市内のDC同士を光通信で接続し、遅延状況を確かめ、分散技術を確立する。2026年3月までを試験期間とし、27年度の実用化を目指す。
人工知能(AI)の進化で必要な計算能力は高まっているが、大規模なDCは電力供給や立地など制約が多い。分散型DCは電力消費の集中抑制やデータ処理量の拡大などの利点がある。九州では太陽光発電の余剰電力の活用も期待される。
実証実験ではDC間の接続を従来の電気信号から光通信に切り替えることで遅延を従来の100分の1に、処理能力を20倍まで高める。分散型DCを光通信で接続する試みは世界初という。
九電の通信子会社であるQTnet(福岡市)のDCとIIJがQTnetの施設内に設ける小規模DCをつなげて検証する。人工知能(AI)を介して音声でデータベースを操作し遠隔地のDCで処理した場合の遅延や処理能力を検証する。
検証に使用する2つのDCの距離は約15キロメートルだが、技術的には100キロメートルまで離れても性能を維持でき、各種ネットワーク装置を減らせるため省電力化にもつながるという。
九州電力はデータセンター整備と電力供給を一体で考える「ワット・ビット連携」の実証へ向けて、26年にも連携するデータセンターを増やす。九州域内の再生可能エネルギーと組み合わせた検証を進める考えだ。
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