JERAの新名古屋火力発電所内に設置した水電解装置(名古屋市)

JERAとデンソーは25日、愛知県内のガス火力発電所内で水素を製造する実証実験を始めると発表した。デンソーが開発した水電解装置を使い、運転に必要な電力量や時間などを検証する。水を高温の水蒸気に替えて水素を作る。他の手法と比べて、必要な電力を1割ほど減らせる。

デンソーが車載部品技術を活用して開発した「SOEC(固体酸化物形水電解セル)」と呼ばれる水素製造装置をJERAの新名古屋火力発電所(名古屋市)の敷地内に設置した。発電所の電力を使って水素を製造する。水素の生産能力は1時間当たり4キログラム程度で、生産した水素は純度などを計測した後に大気に放出する。

実証は2026年度中ごろまで続ける。将来は複数の装置を組み合わせ、規模を拡大して商用化する。JERAは実証を行う敷地の提供や運用方法の検討などで協力する。

SOECは水を水蒸気にして電気分解し水素を作り出すのが特徴で、デンソーの手法ではセラミック膜を電解質に使う。アルカリ液などを電解質として使う他の手法より消費電力が少なくてすむほか、廃熱を利用すればさらに効率を高められるという。

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