
富士通と英スタンダードチャータード銀行の投資子会社は25日、量子コンピューター用ソフトウエアの開発を支援する新会社の設立に向けて提携したと発表した。企業や研究機関向けに、複数種類の量子コンピューターを活用できる開発基盤を提供する。まずは金融分野を中心にソフト開発を支援する。
新会社は10月に英ロンドンで設立し、量子コンピューター向けソフトの開発基盤は26年の提供開始を目指す。資本金や出資比率は非公表。
ソフト開発基盤は富士通製の量子コンピューターだけではなく、他社製にも接続できるようにする。企業や研究機関と共同でソフトを開発するほか、新会社が自らソフトを開発することも想定する。
金融分野では、詐欺などの不正検出や、デリバティブ(金融派生商品)の価格設定、クレジット決済の審査など様々な分野で量子コンピューターの活用が期待されている。新会社はまず金融向けのソフト開発を中心に支援し、将来的には材料開発など他分野にも用途を広げる。
富士通は量子コンピューターのハード・ソフトの両面で開発を手掛けている。ハードでは、23年から理化学研究所と共同開発した実機を稼働させている。26年には1024量子ビット、30年度には1万量子ビットの新型機も開発する。
量子コンピューターは計算エラーが多いといった課題があるため、実用化は道半ばだ。新会社は将来的な実用化を見据え、企業が量子コンピューターを活用しやすい環境を整備する。
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