東京ゲームショウの講演会に登壇した花王の佐々木将氏㊧と松井証券の緒方ひかり氏(25日、千葉市)

ゲームを新たな顧客との接点にしようと、異業種が力を入れ始めた。松井証券と花王は25日、幕張メッセ(千葉市)で開催されているゲーム見本市「東京ゲームショウ」で担当者が講演し、取り組みを紹介した。ゲームの腕を競うeスポーツチームとのスポンサー契約などで、若者へのサービス訴求を図る。

ネット証券の松井証券は5月、eスポーツのプロチーム「FENNEL」とスポンサー契約を結んだ。eスポーツは若年層にプレーヤーやファンが多い。松井証券は若い世代に投資への関心を持ってもらおうと契約を決めた。ネット証券会社がeスポーツのプロチームのスポンサーになるのは初めてだという。

松井証券マーケティング部の増田雄亮部長

「Z世代に松井証券があまり知られていないことが課題だった」。同社マーケティング部の増田雄亮部長はこう振り返る。松井証券は同業他社と比べ顧客に占める20〜30代の比率が低いことに危機感を持ってきた。チームのスポンサーになることで、eスポーツファンの目に社名が触れる機会が生まれる。

25日の講演会に登壇したマーケティング部の緒方ひかり氏は「オンラインゲームをプレーする人にとって、ネット上で取引することへのハードルは低い。ネット証券とeスポーツの親和性は高いはず」と話した。

「めぐりズム 貼る炭酸ジェルパック」を持つ花王パーソナルヘルス事業部の佐々木将氏

ヘルスケア商品を手掛ける花王は、ゲーム利用者をターゲットにしたマーケティング戦略について講演した。アイマスクなどを出す同社の「めぐりズム」シリーズはこれまで、デスクワークの多い会社員向けにリラックス効果を訴求してきた。しかし「新しい客層に届ける必要も感じていた」(花王パーソナルヘルス事業部の佐々木将氏)という。

3月に発売したボディーシート「めぐりズム 貼る炭酸ジェルパック」では、ゲーム利用者が集まるイベントで試供品を配るなどの販促を始めた。東京ゲームショウにも商品を体験できるブースを設け、額や首にシート貼ると冷たく感じる効果が、ゲーム中の疲労感の改善に効くとアピールする。

東京ゲームショウで花王が設けたブース(25日、千葉市)

24日には、「めぐりズム」ブランドが一般社団法人日本eスポーツ協会のオフィシャルスポンサーに決まった。佐々木氏は「eスポーツは世界共通の言語。めぐりズムを世界の人に知ってもらうために、eスポーツの文脈で広げていきたい」と意気込む。

「ファミ通ゲーム白書」によると、世界のゲームコンテンツ市場規模は2024年に31兆円で、20年比で5割増だった。成長を続けるゲーム市場に、異業種もビジネスチャンスを見いだしている。

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