
物価高騰やコメ不足の影響により、生活困窮者を支援する「フードバンクちば」(千葉市中央区)が食料品を集めにくい状況に陥っている。2024年度のコメの寄贈量は例年の半分ほどに落ち込んだ。政府が備蓄米を放出しても十分な量を確保できておらず、スタッフの高橋晶子さん(60)は食料品の提供を呼びかけている。
フードバンクちばは12年の設立以来、賞味期限が近いなどの理由で企業や家庭から廃棄される食品を引き取り、困窮者やこども食堂などに無償提供している。コロナ禍で食糧支援が広く認知されると、21年度の寄贈量は急増して115トンに。困窮者らへの支援量を上回り、余剰分を翌年以降に繰り越していた。

ところが、24年度はコメ不足と食料品などの値上げの影響を受け、寄贈量が70トンへと大幅に減り、一転して寄贈量が支援量を下回った。
特にコメの寄贈は「パタリと来なくなった」と高橋さん。例年10数トンのコメを集めていたが、24年は半分程度に。特に企業や農家から大口の寄付が急減した。
全国的にコメの在庫が枯渇する支援団体も少なくない中、フードバンクちばでは在庫を放出してしのいだ。それでも、これまで子ども食堂や定時制高校などの団体に行ってきた大口の支援を、絞ったり取りやめたりせざるを得なかったという。
25年度に入って市場に備蓄米が出回り始めると、備蓄米を買って届けてくれる支援者も現れ、寄贈量は昨年より改善しつつある。それでもコメ不足以前には「遠く及ばない」という。「フードバンクちば」は不足分を補うため、農水省に備蓄米の交付申請をした。

高橋さんによると、コメが市場に出回っても価格が高いため手が出せず、うどんなど麺類でしのいでいる人が少なからずいるという。「食料品の支援を必要とする人は決して減っていない」と話し、支援を呼びかけた。
フードバンクちばは、家庭で余った食品を回収して支援に活用する「フードドライブ」を行っている。受取窓口はフードバンクちばの他、県内各地の社会福祉協議会や商業施設など。問い合わせはフードバンクちば(043・301・4025)。【高橋晃一】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。