三菱商事が進めていたツナ缶世界最大手のタイ・ユニオン・グループに対するTOB(株式公開買い付け)は成立しなかった。タイ・ユニオンは応募株式数が買い付け予定数に届かなかったと発表した。三菱商事は同社への出資比率を6.19%から20%に引き上げ、持ち分法適用会社にしようとしていた。

1株あたりの買い付け価格は12.5タイバーツと、TOBを公表した日の前営業日だった8月1日の終値(11.8タイバーツ)に6%のプレミアム(上乗せ幅)をつけていた。取得総額は約300億円を予定していた。9月8〜26日までTOBを実施したものの、応募株式数は買い付け予定数の5億3227万株に届かなかった。

タイ・ユニオンは東南アジアやアフリカなど世界14カ国に26の加工工場を持つ。ツナ缶などの水産缶詰のほか、エビやサーモンの冷凍加工、カツオやマグロを原料としたペットフードやサプリメント製造を手がける。三菱商事は追加出資で水産物の加工や販売などでの連携強化を目指していた。

三菱商事は6.19%のタイ・ユニオン株を引き続き保有する。株式の追加取得や持ち分法適用会社化に向けた再度のTOBについては「現時点で確定した事項はない」(三菱商事)としている。

タイ・ユニオンは「今回の結果にかかわらず、三菱商事は既存の株式保有を通じて当社との成長機会やさらなる協業の可能性を引き続き模索していく」という。

BUSINESS DAILY by NIKKEI

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