京都信用金庫は取引先の海外展開支援の新部署を立ち上げる(30日、京都市)

京都信用金庫は30日、取引先の海外展開支援に特化した新部署を10月1日に設立すると発表した。アジアを中心とした市場調査や商談会の紹介などを通じ、販路開拓や拠点設置をきめ細かくサポートする体制を整える。京都銀行もインドへの進出支援に向けて専門人材を育成しており、海外ビジネスの需要の高まりに備える。

京都信金の部署名は「京信ワールドリンク」。これまでは貿易取引や海外展開支援を担当していた2部署の業務を移す。英語や中国語が話せ、国際業務や海外文化に精通する30代以下の若手3人を配置した。現地でのマーケティングやバイヤーとのマッチング、SNSを活用したPRなどを広く支援する。

約3万社ある取引先のうち、海外展開に関する相談は2024年度に約60件あった。経済成長を背景に台湾や香港、シンガポールなどに販路開拓したいという相談が増えている。榊田隆之理事長は「訪日外国人の増加も追い風に海外への意識が高まっている。京都信金が持つ海外の経営者らとのネットワークも活用していく」と意欲を示す。

京都銀行の取引先の生田産機工業はインドでの工場新設を検討する(2024年11月に生田産機が出展したインドでの展示会)

京都銀行はインドへの進出前後のサポートを手厚くする。現地コンサル会社に5月から行員1人を派遣した。商習慣の調査をはじめ、資金調達や拠点設置で求められるノウハウを学んでいる。地銀がインドの地場企業に行員を送るのは珍しい。8月には本店の国際営業部にインドの専任人材を配置した。

政府が製造業を育成する政策を掲げ、半導体や自動車関連をはじめとする工場が増えている。インドに進出する取引先は上場企業を中心に約100社で、中国(約700社)やタイ(約300社)、ベトナム(約250社)などに次ぐ。現地での需要増に加え、アジア各地の人件費高騰や地政学リスクの高まりで供給網を分散する動きが強まっている。

その一社が生田産機工業(京都市)だ。銅など金属の加工設備が主力で半導体や自動車関連の需要が伸びている。首都ニューデリー近郊で26年度中の稼働をめざして新工場設置を検討している。海外拠点は中国・トルコに次いで3カ国目。生田泰宏社長は「現地の規制などがつかめないなか、うまく伴走支援してもらえている」と話す。

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