日本精工は、揚げ物調理などに使用できる食用油劣化抑制フィルターの量産開発を完了したと発表した。フィルター内部の繊維表面に劣化抑制添加剤を付着しており、揚げかすなどの除去と同時に食用油の劣化を抑制する機能を持つ。こうした機能を備えるフィルターの実用化は世界初という。
軸受けの開発で培った潤滑剤の劣化抑制技術を応用し、2015年から開発を進めてきた。既存の市販フィルターと比べて食用油の寿命を最大3割延長できることを確認したという。例えば、これまで3日に1回油を交換していた場合は4日に1回の頻度に減らせる可能性がある。
従来の粉体を使用する方法では、油を吸って重量が増した粉体の回収に伴う作業負担や、飛散した粉体の吸引といった健康リスクがあった。同フィルターは添加剤が内部に付着した構造により、これらのリスクを軽減する。
添加剤には食品添加物を使用し、フィルターは厚生労働省が定める食品・添加物などの規格基準である材質・溶出試験を参考とした自主基準をクリアしているとする。
食品加工メーカーや飲食店の食用油購入量や購入費用の削減に貢献し、使用済み食用油廃棄量の削減を通じて環境保全にも寄与する。今後、さらなる性能向上に取り組みつつ、ろ過機を持たないコンビニエンスストアやスーパーマーケット、弁当・総菜店を含めた小売業などへの導入検討を進める。
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