
関東信越国税局から約11億円の所得隠しを指摘されたフジテレビ系列の「NST新潟総合テレビ」は3日、弁護士らで構成する外部調査委員会による調査報告書を公表した。
報告書によると、2011年ごろからフジテレビの視聴率が低下したことや、他局との厳しい競争環境を背景に、東京支社では営業担当者に相当なプレッシャーがかかり、広告代理店担当者に対する商品券の贈答など適正な事業活動の範囲を逸脱する行為が始まった。16年度の商品券購入額は1450万円まで増加した。
その後、商品券贈答は税務調査による指摘などで18年から段階的に廃止されたが、代わってCM制作費名目で金銭を支払う仕組みを介在させて利益供与が行われるようになったと認定。原因については「経営陣が売り上げやシェアに絶対的な価値を置き、広告代理店担当者に対する利益供与によって売り上げを獲得する方法を容認し続けた」と結論づけた。

NSTの酒井昌彦社長は3日、新潟市中央区の本社で記者会見し「視聴者や多くの関係者にはご迷惑、ご心配をおかけし、改めておわび申し上げる」と陳謝した。その上で酒井氏は「具体的な売り上げ向上策を営業現場任せにしていたことが、営業現場への過度なプレッシャーにつながった」などとして、内部統制体制の強化などの再発防止策を説明した。【神崎修一】
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