
大阪府は3日、2024年に開業した再生医療の拠点「中之島クロス」(大阪市)で、iPS細胞の実用化への道筋について、関係する識者などの講演会を開いた。拠点を運営する一般財団法人未来医療推進機構の澤芳樹理事長は「サイエンスにお金が集まる場所を作っていきたい」と語り、ビジネスとして展開することで世界に貢献できるとの考えを示した。
澤氏は「日本は研究開発のレベルが非常に高いが、世界で売れるかどうかとなるとなかなか難しい」と社会実装する力が足りていないことを指摘した。中之島が医学をけん引してきた歴史に触れつつ、同拠点の役割は社会実装を推進することだと説明した。
澤氏は、心不全の患者にiPS細胞から作った心筋シートを貼って心臓の機能を回復させる治療法の開発で知られる。
iPS細胞を使った臨床研究や治験の事例は目や神経、心臓などの病気がある。今後も様々な細胞がiPS細胞から作られることが期待される。登壇した住友ファーマの木村徹社長は「作る細胞の数が少ないほうが扱いやすい。数が多いと難易度や材料費に関わってくる。また、移植のため免疫拒絶が伴うが、脳や目は拒絶が起こりにくい」とiPS細胞を使った治療が進みやすい疾患の種類を示した。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。