
企業会計基準委員会(ASBJ)は7日、M&A(合併・買収)で生じる「のれん」を巡る会計ルールについて公聴会を開いた。監査法人の関係者からは、のれんを定期償却する日本の会計ルールを非償却に完全移行した場合、専門的な監査業務が増え「監査する会計士や外部専門家の確保で現状は課題がある」との声が出た。
のれんは買収額と買収先の時価純資産の差額だ。日本の会計基準は定期償却と、価値が大きく減った場合の減損損失で処理する。国際会計基準(IFRS)などでは減損損失のみで処理する。民間団体などが5月、ASBJの運営母体の財務会計基準機構(FASF)にM&A促進などの観点から償却・非償却選択制の導入などを要望した。
10月7日の公聴会では出席した監査法人関係者から、償却と非償却の選択制については否定的な見解が相次いだ。同じ会計基準でも財務諸表が比べにくくなるうえ、日本の会計基準に対するブランドや信頼性を毀損しかねないとの見方があった。
非償却ルールを導入する場合、M&Aで取得した資産の減損テストなどをIFRS並みに厳格にすべきだとの声が相次いだ。
ASBJは8月から公聴会を断続的に開いている。10月7日は4回目だった。
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