
ソフトバンクグループ(SBG)は8日、スイスの重電大手ABBのロボット事業を買収すると発表した。買収金額は総額53億7500万ドル(約8187億円)。各国規制当局の承認を踏まえ2026年中の買収完了を目指す。データセンターや半導体など人工知能(AI)分野への投資を強めてきたSBGがロボット分野にも投資領域を広げる。
ABBがロボット事業を分社し、SBG側が買い取る形だ。欧州と中国、米国の競争法当局の審査を受けて手続きを進める。
SBGの孫正義会長兼社長は「次のフロンティアは(ロボットや自動運転などの)『フィジカルAI』。ABBとともに世界トップレベルの技術と人材を結集し、人工超知能(ASI)とロボティクスを融合させることで人類の未来を切り開く画期的な進化を実現していく」とコメントした。
SBGはASIの実現に不可欠な、半導体とロボット、データセンター、電力の4分野に積極投資を続けている。
AIの普及を見据え、SBGはロボット事業を成長の中核と位置づける。ロボ関連の投資を集約する中間持ち株会社「ロボホールディングス(HD)」を設立し、6月末までにグループ内にあるロボット関係の出資先20社を傘下に集約した。ここにABBのロボット事業も加えて、AIとロボット技術の進化を主導する。
SBGはAIを搭載した産業ロボが製造ラインに入り込む自動化工場群「インダストリアルパーク」を米国に整備する構想も持つ。米国で構築するAIインフラ投資計画「スターゲート」の計算能力をフル活用する。
ABBは産業用ロボット大手で、安川電機、ファナック、ドイツのKUKAと並ぶ世界4強の一角。24年12月期の売上高は329億ドル、最終利益は約39億ドルだった。ABBが分社するロボティクス部門は全体売上高の約7%を占める。
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