
レゾナック・ホールディングス(HD)は、川崎市の事業所に水素混焼の自家発電設備を導入すると発表した。総投資額は約217億円で、うち約70億円は政府から補助を受ける。2030年の稼働予定で温暖化ガス(GHG)排出量の削減につなげ、発電した電力は半導体材料の製造拠点でも活用する。
レゾナックHDの川崎事業所(川崎市)ではアンモニアの製造などを手がけ、コークスを主な燃料とする自家発電設備を2基持つ。そのうち1基を止め、新たに水素と都市ガスを混焼するガスタービンを導入する。残る1基も燃料転換を検討する。
川崎事業所はレゾナックの国内GHG排出量の約半分を占めている。今回の取り組みにより、自社のGHG排出量を示す「スコープ1」で川崎事業所の排出量の約2割にあたる年間約25万トンの削減につながる。
発電した電力の一部は電力会社の送配電網を使って施設まで送る「自己託送」の仕組みを使い、主力事業の半導体材料を手がける関東の製造拠点にも供給する。主な候補としては封止材や感光性フィルムなどを生産する下館事業所(茨城県筑西市)や山崎事業所(同県日立市)を念頭に置く。半導体業界でも高まっている排出量削減のニーズに対応する。
川崎事業所の水素発電事業を巡っては川崎重工業と23年に覚書を結び協業を検討していたが、川重側の水素調達の遅れなどから25年7月に検討中止を発表していた。その後レゾナックHD単独での事業検討を進めるとしており、政府補助金も使いながら取り組む。

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