
三菱重工業は9日、日本酒蔵元の獺祭(山口県岩国市)と開発した宇宙用の醸造装置と清酒の原料を大型基幹ロケット「H3」7号機に搭載すると発表した。打ち上げは21日の予定で、国際宇宙ステーション(ISS)で醸造試験をする。獺祭は将来的に月面での酒蔵建造などを目指しており、地球と異なる環境で醸造できるか確認する。
清酒「獺祭」の原材料となる米やこうじ、酵母、水と、専用の醸造装置をISSに運び、宇宙飛行士に作業してもらうことを想定する。打ち上げ後10日ほどで試験を始める予定で、2週間かけてデータを集めたり観察したりする。宇宙で発酵したもろみは早ければ年内にも地球に帰還させる予定。

宇宙環境で発酵するもろみはアルコールを含み可燃性があるため、安全性の担保が必要だった。少量で造るほか、装置も梱包して流出を防ぐ。櫂(かい)入れという酒造りの作業工程をリモート環境でも再現するため、醸造装置に試料をかき混ぜるためのフィンを取り付けた。
獺祭は将来の人類の月面における生活の質向上を見据え、月面での酒蔵建造や獺祭の醸造を目指すプロジェクトを2024年から始めていた。
【関連記事】
- ・「獺祭」新社名で始動、米国「最重要市場に」 重み増す現地拠点
- ・宇宙で醸造、グラス1杯1億円の日本酒・獺祭 旭酒造の挑戦
- ・JAXAの新型補給機「HTV-X」、10月21日打ち上げへ H3ロケットで

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。