東急田園都市線で5日に発生した列車同士の衝突・脱線事故を受け、国土交通省は14日までに全国の鉄道事業者などに対し、今回の事故原因とみられる信号システムの設定にミスがないか緊急点検するよう指示した。1カ月後をメドに結果報告を求めている。

指示は10日付。5日深夜に梶が谷駅(川崎市高津区)で起きた事故は、信号や線路を切り替える分岐器を制御する「連動装置」のシステムの条件設定にミスがあり、進路上に別の列車を検知しても赤信号を表示せず、青信号を出す設定になっていた。このためATC(自動列車制御装置)が正常に作動せず、衝突の原因になったとみられている。

国交省によると、同様に信号を制御する連動装置は他の鉄道でも導入されている。同様の設定ミスがないか鉄道各社に緊急点検を求めた。

東急電鉄は事故後、連動装置を設置している計33駅の点検をしたところ、東急田園都市線・大井町線の二子玉川駅(東京都世田谷区)の1カ所と、東急新横浜線の新横浜駅(横浜市)の2カ所の計3カ所でもミスが見つかった。いずれも運用開始から事故につながったケースはないといい、順次改修を進めている。

事故は5日午後11時4分ごろ発生。中央林間発渋谷行き普通列車が同駅の上り線ホームに入ろうとした際、車庫に向かう引き込み線の途中で停止していた回送列車と衝突し、回送列車の最後尾の車両が脱線した。普通列車の乗客149人と、双方の運転士らにけがはなかった。

【関連記事】

  • ・東急田園都市線衝突、二子玉川駅と新横浜駅の計3カ所でも信号設定ミス
  • ・東急田園都市線衝突、信号システムに設定ミス ATC作動せず
  • ・東急田園都市線衝突、ATCなど安全システムの状況調査へ 運輸安全委
  • ・東急田園都市線・梶が谷駅で列車衝突、脱線 乗客149人けがなし
「日経 社会ニュース」のX(旧ツイッター)アカウントをチェック

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。