
自民党税制調査会の新会長に就任した小野寺五典氏が14日、ガソリン税に上乗せされる暫定税率の廃止を巡る立憲民主党との協議に初めて臨んだ。公明党の連立離脱もあり、毎年度の税制改正を実質的に決めてきた「自民税調」の影響力に陰りが見える中、野党との調整をどう進め、結論を導き出すことができるのか手腕が問われる。
小野寺氏は立憲の重徳和彦税調会長と40分ほど過去の経緯などを確認。両氏はこれまで協議に参加してきた公明党を含む3党で15日にも再び協議することを決めた。
暫定税率の廃止については、7月末に日本維新の会、国民民主党、共産党を加えた与野党6党の国対委員長が「今年中のできるだけ早い時期に実施する」と明記した合意文書に署名しているが、小野寺氏は6党協議の再開について「まず3党で議論した上でどうするか相談したい」と記者団に述べるにとどめた。
自民税調は「インナー」と呼ばれる一部の幹部が事実上の決定権を持つ独特の運営手法が長く取られてきた。前会長の宮沢洋一氏も旧大蔵省出身のインナーとして長年活動し、暫定税率の廃止には安定した税財源を充てる必要があるとの考えを示していた。
この慣習を変えようとするのが高市早苗総裁だ。12日には税調人事に関連し「スタイルそのものをガラッと変えて欲しい」などとX(ツイッター)に投稿。財務省出身の税の専門家だけで税調役員を固めるのではなく、「『全国民の代表者』として国会に送って頂いた国会議員達が必要だと考える税制」を議論する場にしたいと主張し、これまでの税調のやり方を暗に批判した。
インナー外から異例の登用となった小野寺氏の前には課題が山積する。暫定税率の廃止に向けては税収減の穴埋め策も決まっていない。
この日の協議終了後、小野寺氏は「早く前に進めたい。高市新総裁もそのような考えなので積極的に議論したい」と意気込んだ。一方、重徳氏は小野寺氏について「スピード感の認識が不十分。ネジを巻かないといけない」と述べた。【井口彩、富美月、鈴木悟】
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