創薬スタートアップのクリングルファーマは15日、11月にも米ジョージア州に全額出資子会社を設立すると発表した。脊髄損傷の急性期を対象とする治療薬を米国で開発し、2027年の製造販売承認の申請を目指す。現地法人の設立で、臨床試験(治験)や補助金獲得を迅速に進める。

クリングルファーマは大阪大学と慶応大学発のスタートアップ。新薬は組織や臓器の修復を促す「HGF(肝細胞増殖因子)タンパク質」を用いた注射剤で、再生医療の一種だ。運動機能や感覚の回復を促す作用がある。

日本ではすでに治験を完了し、製造販売申請に向けた準備を進めていたが、医薬品医療機器総合機構(PMDA)から追加試験を求められたため、日本での申請後に予定していた米国での開発を並行して進める。

クリングルファーマによると、脊髄損傷の急性期患者は米国に年間約6万人おり、日本の約10倍の市場規模が見込まれる。

同社は声帯が硬くなり声が出しづらくなる「声帯瘢痕(はんこん)」を対象にしたHGF医薬の治験も国内で進めており、米国でも申請を予定する。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。