関門海峡の両岸に立てた鉄塔を結ぶ形で九州―本州間の送電線がかかっている

全国の電力需給を監視する国の認可法人「電力広域的運営推進機関」は15日、九州と本州をつなぐ送電線の増強計画を発表した。関門海峡に海底ケーブルを新設する内容で、送電容量を1.3倍程度に増強する。九州では太陽光発電などの稼働を抑える「出力制御」が多発しており、本州に送電することで再エネ電力の効率利用につなげる。

九州―本州間の送電線の増強は工事費で約4400億円、運転維持費で約5400億円で計1兆円弱を見込む。事業者に決まった九州電力送配電など3社が今後用地取得などに着手し、2039年3月の運転開始を目指す。

ほかに中国電力ネットワーク、Jパワー系の電源開発送変電ネットワークが事業を手掛ける。現状は福岡県と山口県を隔てる関門海峡の両岸に鉄塔を立てて送電線をかけているのに加え、海底に送電容量100万キロワット分のケーブルを新設する。

既存の送電線の容量は最大278万キロワットあり、約1.3倍に増強する。1兆円弱の費用は国の交付金で賄うほか、沖縄電力を除く大手電力9社などが将来の需要予測に基づき分担する。託送料金の引き上げや再エネ賦課金などの形で消費者側の負担になる可能性もある。

九州では太陽光発電の普及が進んでおり、九州電力が24年度までに500回以上の出力制御を実施。国の短期見通しでも九州は発電可能量のうち無駄になる割合が6%と全国で最も高くなっている。送電線の増強で本州に送電しやすくなれば再エネ電力の効率利用につながる。

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