
NHKは16日、新たなネット配信サービス「NHK ONE(ワン)」の利用動向を公表した。従来の配信サービスからのアカウント移行は13日時点で約163万件だった。同局のネットサービスは配信で約668万件の利用者を抱えていたが、新サービスの提供に合わせてサイトとアプリを刷新しており、移行が円滑に進むかは課題となっている。
同日の定例記者会見で、NHKの稲葉延雄会長は「登録件数は順調に推移している」とした。放送局などで開いた対面での移行サポートも延べ5万人が訪れるなど利用者の関心は高い。稲葉会長は「幅広い年齢層からネット配信を楽しみたいという意思表示を得られた」と語った。
サービス開始直後にはアカウント登録で不具合も生じた。稲葉会長は「ご不便、ご迷惑をおかけした」と陳謝した。サービス品質を保つには「(素早い検証・改善を重ねる)『アジャイル(機敏)』な対応が不可欠だ」とした。
今後は「フリーライド(ただ乗り)」対策も進める。受信契約情報の登録などに応じない利用者に対して、アプリの画面の一部に手動では閉じられない警告を表示する準備を進める。今後の利用動向を見ながら、必要に応じて実施していくという。
稲葉会長はまた、民放との中継局の共同利用に向けて、NHK側から設備更新の費用の一部を助成する基金の設立を提案したことも明らかにした。稲葉会長は「参加者がコストメリットを実感できるやり方にした方がよいと考えた」と説明した。
当初は両者が共同で出資する事業会社を通じて利用する計画だった。稲葉会長は「少し過大な計画となっており、持続的な事業展開が難しいことがわかった」と述べ、共同利用を進めるためには「技術的な変更」が必要になったと説明した。
NHKは同事業へ600億円の拠出を計画してきた。稲葉会長は「(NHKと民放の)二元体制の放送ネットワーク維持へ活用する考えになんら変わりはない」と強調した。関連費用は2026年度予算に盛り込む必要があり、民放との協議を急ぐ。
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