
IHIは16日、北欧フィンランドの人工衛星大手ICEYE(アイサイ)と衛星調達に向けた契約を結んだと発表した。地球の地表情報を集めるための衛星4基を購入し、2026年度からデータを取得できるようにする。アイサイとは29年度までに、最大24基の衛星を連携して一体運用する「衛星コンステレーション」の構築を目指している。
同日、東京都内で契約署名式を開いた。アイサイから購入する4基の合成開口レーダー(SAR)衛星は、電磁波の反射を利用して夜間や悪天候でも地表を観測できる。4基以外の20基については、需要に応じたオプション契約とした。将来的に衛星は日本で生産する。投資額の詳細は非公表だが、4基で200億円規模とみられる。
構築を目指す日本独自の衛星コンステレーションでは、安全保障上懸念がある国の軍事施設や港などの監視を想定する。
アイサイは人工衛星の設計から製造まで手掛け、18年に最初の衛星を打ち上げた。打ち上げ数を累計54基まで伸ばしており、27年までに同100基以上を打ち上げる見込みだ。製造拠点を増やしたいアイサイと衛星網構築を目指すIHIのニーズが合致した。
署名式後の記者会見に出席したアイサイのラファル・モドジェフスキ最高経営責任者(CEO)は同社の衛星の特徴について「(戦時下にある)ウクライナでも実際に使われ、その情報を受けながら改善してきた、証明されたテクノロジーだ」と説明した。
IHIの航空・宇宙・防衛事業領域は、25年度の同社の営業利益全体の6割を占める見通しだ。井手博社長は「IHIはこれまで航空エンジンが中心だったが、宇宙事業を成長ドライバーと位置づけている」と話した。IHIはアイサイとの契約分も含め、自社で30年ごろに100基体制の衛星コンステレーション構築を計画している。
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