福岡県の中古EVリース事業で取り扱う日産自動車の「リーフ」

福岡県は20日、中古の電気自動車(EV)をリースする事業を始めたと発表した。中古EVの有効活用に加えて、リース終了後に電池を回収して海外に供給を依存する希少金属(レアメタル)の国内循環につなげる。県によると、地方自治体が中古EVのリース事業を手掛けるのは初めて。

初年度登録から5〜7年たった日産自動車の「リーフ」などを扱う。対象は県内に住む個人か事業所を置く法人。リース期間は3年間で、月々の料金は税抜き約2万5000〜3万5000円となる。年間30台の契約を想定して20日から募集を始めた。

県はリース車両の電池容量を定期的に点検するほか、最大容量が新車の70%を下回ったら交換するといった保証を付け、希望者が安心して利用できるようにする。運営はレンタカーやカーリースなどを手掛ける新出光(福岡市)に委託した。

国内の中古EV市場は電池の劣化不安が足かせとなり十分に発達していない。大半が輸出され、海外に供給を依存する電池材料のレアメタルも国外に流出している。

使用済み電池の発生数は今後増えると見込まれるなか、経済安全保障の観点から国内で再利用させる仕組みづくりが急務となっている。

中古EVリース事業を発表した福岡県の服部誠太郎知事(写真右)と新出光の出光泰典社長(20日、福岡市)

中古EVのリース事業には蓄電池の再利用市場を形成する狙いがある。リース終了後に回収した電池はバックアップ電源として使える蓄電池設備へと再び製品化したり、レアメタルを取り出して新しい電池の原材料として再利用したりと循環させる。

服部誠太郎知事は20日の記者発表会で「EVに興味がある方、利便性や環境性能を試したい方はぜひリースに応募してほしい。皆様の参加が持続可能な社会につながる」と話した。

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