住友生命保険の高田幸徳社長(生命保険協会会長)は17日までに、時事通信のインタビューに応じた。業界で相次いだ不祥事で、生命保険会社と販売代理店の距離感が問われている現在は適切な関係構築に向けた「大きな転換期」と指摘。出向者ら、人間による代理店支援の在り方を見直す動きが出る中、生成AI(人工知能)を含めたデジタル技術による支援を「検討していきたい」と述べた。

15、16の両日、米西部ワシントン州ベルビューで開いた海外子会社2社トップとの会合「3Sサミット」に合わせて取材に応じた。

生保会社は銀行などの販売代理店へ社員を出向させ、保険商品の販売や指導といった支援を行ってきた。一方で近年、出向者を通じた個人情報漏えい問題や、代理店に対する過度な便宜供与など不祥事が多発。生保協が9月に新たな指針を公表し、出向の原則取りやめを打ち出すなど、関係性の見直しが進んでいる。

高田氏は、出向者の「引き揚げ」が進む中、生保会社として「代理店の自立をいかに支援していくか考えなければならない」と強調。会合に参加したシンガポール子会社のシングライフはデジタル技術を用いた保険販売や代理店管理に長ける。高田氏は、すでに子会社からのノウハウ共有を進めているとし、「住友生命は代理店にこんなサポートができる、ということを示していきたい」と述べた。

AIを巡っては、業務での「チャットGPT」の活用など、住友生命社内での効率化は「かなり進捗(しんちょく)している」と話す。今後は保険を通じて顧客に提供する価値を高めていくことが重要だと指摘。AIを起点に米子会社のシメトラを含めたグループ3社が企業価値を高めていくことが、今回の会合の「最大の目的だ」と述べた。

現在検討を進めている2026年度からの新たな中期経営計画の中では、グループ3社がAI活用や資産運用面でどのようなシナジー(相乗効果)を発揮できるかを「掲げていきたい」と語った。(ベルビュー時事)。

インタビューに応じる高田幸徳住友生命保険社長=15日、米西部ワシントン州ベルビュー

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