
ポーラ・オルビスホールディングス傘下のACRO(東京・品川)が手掛ける化粧品ブランド「THREE(スリー)」が19日、佐賀県唐津市に同社初となる精油(エッセンシャルオイル)の蒸留所をオープンした。自社農園で栽培したハーブを使った抽出プロセスの見学のほか、アロマの調合体験や限定商品の購入もできる。
ブランド名を冠した新施設「スリー呼子蒸留所」は、唐津市内にある呼子朝市通りの古民家を改装した。スリーは自然由来の原料にこだわったコスメブランドで、国内では百貨店を中心に展開しており、アジアなど海外でも人気が高い。
蒸留所では、ハーブの香りを閉じ込めたスイーツやエッセンシャルオイルなどの限定商品の購入や、アロマオイルの調合など予約制のワークショップも楽しめる。

同施設の蒸留釜は1600リットルの容量があり、ACROによるとハーブ精油蒸留所としては国内最大級の規模だという。研究開発責任者の佐井賢太郎さんは「原料のハーブの栽培から収穫、エッセンスの抽出まで100%コミットする本物のものづくりでブランド価値をより高めていきたい」と話す。
ACROでは2022年に唐津市や隣接する玄海町の耕作放棄地を活用した自社農園でハーブの試験栽培を始めた。現在は3ヘクタールの畑でローズマリーやコモンタイム、ティーツリー、ロザリーナなどを収穫している。国内外で良質のハーブ精油への需要が高まるなか、今後5年間で栽培地面積を10倍に拡大する計画がある。
県では化粧品メーカーや関連企業の集積をめざす「コスメティック構想」を推進している。人気ブランドの精油蒸留所進出が「コスメ県」としての認知度向上のほか、古民家再生などが進む唐津エリアの観光促進にもつながると期待を寄せる。
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