
日用品卸大手のPALTAC(パルタック)とあらた、データ管理のプラネット(東京・港)は20日、物流業務を効率化する新会社を設立すると発表した。新会社はせっけんやシャンプーといった日用品の商品情報と、配送に必要な関連情報を一元管理する。現在は卸や小売企業が扱う情報がバラバラで情報を登録・管理する負担が重い。一元管理の仕組みを作り、業界全体で年18億円のコスト削減を目指す。
11月に「プロダクト・レジストリ・サービス」(東京・千代田)を設立する。資本金は1億円。パルタックが30%、あらたが30%、プラネットが40%を出資する。2026年4月に稼働を始める。日用品メーカーや小売企業と連携し、物流の人手不足問題に対応する。
日用品の物流に関しては、例えば化粧品の成分やサイズといった商品情報から、梱包の方法、1ロットあたりの数量といった関連情報まで、卸や小売りが扱う情報は多岐にわたる。卸はメーカーから商品情報や関連情報を受け取り、データベースに登録するが、メーカーごとに登録する情報の範囲に差があったり、同じ情報でも表記が異なったりする問題がある。
新会社は商品情報の標準化と一元管理に取り組む。具体的なルールは今後詰めるが、新会社のデータベースに登録した情報については、卸や小売りが変わっても情報を追加・修正する手間が不要になる。5年後にメーカー1500社のデータを標準化し、国内の日用品取引の大半をカバーする狙いがある。
パルタックによると、同社が扱う日用品は年間約5万点あり、そのうちの約3割は新商品の発売やパッケージの刷新で情報を修正する必要がある。卸会社が小売業から情報の登録を頼まれることもあり、情報を登録・管理する担当者の負担になっている。標準化すれば担当者や作業が減るほか、梱包関連の作業が減ることで物流倉庫で働く作業者の負担も軽くなる。

経済産業省は24年、ユニ・チャーム、ライオンなどのメーカーや卸大手と情報の標準化に関する検討会を設置し、日用品業界の負担低減を後押ししている。同省は「データの登録・管理を大幅に効率化しなければ、現在と同等のサービスレベルを維持することは難しい」とみる。
日用品卸国内首位のパルタックの吉田拓也社長は20日、「新会社を通じて物流業界全体の生産性の向上に貢献したい」と話した。同2位のあらたの東風谷誠一社長は「物流業界がDX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めていく上で、商品情報は重要な基盤となる」と強調した。
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