
トヨタ自動車は交通事故防止につなげる人工知能(AI)エージェントを開発する。交通状況や運転手の様子などのデータを収集し、危険が迫っていれば車内に注意を促す。車の知能化が進むなか、トヨタはAIやインフラとの連携を通じて安全な交通社会を構築する。
AIエージェントとは自律的に人の作業を代行するAIだ。トヨタが開発するAIエージェントはインフラ側と車側の双方からデータを収集する。実用化の時期は未定。
インフラ側では独自の管制システムを開発する。「スマートポール」と呼ぶカメラや高性能センサー「LiDAR」などを搭載した機器を信号機などに取り付けることを想定。交差点に進入する移動体の位置やスピード、車両の種類などを把握し、運転者から見た死角などの情報をクラウドサーバーへ送る。

車側では車内の会話などから運転手の心理状態を推測する。例えば「あそこに新しいお店ができているよ」など運転手がよそ見しやすい会話があると、インフラ側で収集した交通情報と組み合わせてAIが音声で「左折注意」などと注意喚起するほか、ブレーキ制御を支援するという。
既に愛知県内の一部で検証を進めているという。設置したセンサーでは交差点から半径約200メートルの交通状況を把握している。今後、道路を管理する自治体などと連携して設置を促したい考えだ。
こうした仕組みが安定して動くためには通信環境もカギになる。トヨタはAIや通信基盤技術でNTTと資本・業務提携している。同社が開発している遅延が少なく、大容量の通信ができる次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」の活用も視野に入っているという。他の通信会社ともつながりは深く、交通事故の減少に向けて各社と連携する考えだ。
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