環境省が民間に委託した事業を会計検査院が調べたところ、2019~23年度の5年間で、本来国が負担すべきでない経費計8億6千万円が民間に支払われていた。環境省が対象経費を明確に示していなかったことが原因だという。
検査院によると、環境省は二酸化炭素排出抑制対策など、様々な事業で民間と委託契約を交わし、人件費や業務費の一部を支払っている。12年に定めた基本方針では、委託先が他の企業に再委託した「外注費」については、国が支出する対象経費から除くこととなっている。外注費が発生する場合、委託先は再委託が必要な理由などについて、環境省から承認を受ける必要がある。
検査院は19~23年度に環境省が7法人と交わした計58事業(計233億2千万円)について、契約書類や会社側の見積書などを調べた。
その結果、27事業(計170億7千万円)については、受託した5法人が再委託の外注費計8億6千万円を誤って経費に計上していたため、国の不適切な支出が生じていた。環境省は委託先向けのマニュアルを作り、精算時の確認作業で自らも用いていたが、内容が不十分だったという。委託先は環境省の承認を得ずに再委託を行っていた。
検査院「経費の返還を求める必要はない」
検査院は、5法人が故意に過大に請求したり、虚偽の申請を行ったりしていたわけではないとして、支払い済みの経費の返還を求める必要はないと判断している。
環境省は取材に「基本方針があいまいであるといった指摘を踏まえ、方針の見直しを行う」と答えた。
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