帝人子会社の帝人フロンティアや東レなどは27日、回収した廃棄衣類から繊維を再生する水平リサイクルの取り組みで年内にコンソーシアムを設立すると発表した。競合する繊維企業が連携し、再資源化に向け課題となっている技術開発や啓発活動に取り組む。2040年にすべての廃棄衣類を再資源化することを目指す。

コンソーシアムにはほかに、クラボウなど繊維メーカー5社と、再資源化を技術面で支援する公益財団法人の地球環境産業技術研究機構が参加する。取り組むのは廃棄衣類をリサイクルして再び繊維に資源化する「繊維to繊維」の仕組み作りだ。

国内では年約82万トンの衣類が新たに販売され、そのうち約56万トンは廃棄された後に焼却や埋め立てなどで処理され再資源化できていない。衣類には高機能化のために綿やポリエステルといった種類の異なる複数の繊維が使われていることが多く、再資源化の際の分離が課題となっている。

コンソーシアムでは、古着向けとリサイクル向けに衣類を選別する工程の自動化や、衣類から繊維を分離する技術の開発などに取り組む。繊維を分離する工程では酵素や微生物などのバイオ技術を活用する。

各社はそれぞれ得意とする繊維でのリサイクル技術開発を進めてきたが、複合繊維のリサイクルは1社だけでは難しい。「それぞれの繊維の専門家が必要で、良いチームができた」(帝人フロンティアの重村幸弘取締役執行役員)といい、競合同士で連携し資源循環を加速させる。

今回の取り組みは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「バイオものづくり革命推進事業」に採択されている。コンソーシアムではバイオ技術でリサイクルの環境負荷を軽減する効果の検証も進める。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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