新サービス「VOICENCE」を発表するNTT西日本の北村社長(27日、東京都渋谷区)

NTT西日本は27日、声優や俳優などの声を基に人工知能(AI)で合成音声を開発して流通させるサービスを始めたと発表した。改ざんが困難なブロックチェーン技術を応用して、話者公認のAI音声であることを担保する。ネットでフェイク音声がまん延するなか、安全なAI音声を利活用できる環境づくりを促す。

新サービスの名称は「VOICENCE(ボイセンス)」。数秒から数分程度の声を入力すると、本人の話し方を再現したAI音声を生成できる。本人の声色を保ったまま口調を変化させたり、他の言語に変換したりする機能も備える。

AI音声には、データの真正性を保証する証明書を付与しブロックチェーン上で管理する。証明書には契約に基づく利用範囲や用途も記録し、フェイク音声と明確に区別できるようにする。

生成AIの普及に伴い、人の声から無断で合成音声を作り出して動画投稿サイトなどで拡散するなど「声の権利」を侵害する行為が問題になっている。だが国内には声の保護を目的とする法律がなく、声の権利に言及した裁判例もほとんどないという。

NTT西日本の北村亮太社長は記者会見で「テクノロジーの進化で声に新しい価値が生まれる一方、無断利用などが大きな社会問題になっている」と指摘。新サービスの狙いを「信用できる声のプラットフォームを築き、新しい文化や産業を生み出す」と説明した。

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