集めた廃家具を紹介する滋賀県サーキュラーエコノミー推進係の尾上怜主任主事(22日、大津市)

滋賀県は粗大ごみとして県内で廃棄された木製家具を回収し、修理(リペア)して市場に戻す「リペアチャレンジ」事業に着手した。11月1日には大津市で再生した家具を一般に売り出す。広域での回収→修理→販売という循環がビジネスになると実証する公的な実験だ。5年計画で実施し、成果を民間に事業モデルとして示す方針だ。

近江八幡市をはじめとする県中・南部の5市5町などの協力で10月27日までに計250点以上の家具を回収した。11月1日に一般社団法人クラフトマンカレッジが拠点とする大津市の施設で開く販売会には修理済みの机、椅子など200点前後を1点1000〜1万円の価格で出品する構えだ。当面は同じ場所で月1回のペースで売り出していく。

修理を中心とする実務は、木の家専門店谷口工務店(滋賀県竜王町)に委託する。県がこの事業にあてる予算は2025年度が950万円で、利益は出ない見通し。県の単年度事業を5年間積み重ねる形になるので、委託先がかわる可能性はある。委託先には毎年度①在庫管理②単品ごとのリペア記録③売り上げ――などの報告を求める。

ごみ処理は通常、市町などの基礎自治体が担当する。都道府県レベルが基礎自治体の境を越えて粗大ごみの中から再生可能なものを選び、修理や販売まで一体的に検証してサーキュラーエコノミー(循環経済)の可能性を探る取り組みは「今回の滋賀県が初めて」(県サーキュラーエコノミー推進係の担当者)という。

実証実験の対象に木製家具を選んだ理由は「加工を含め扱いやすいから」と県の担当者は説明する。今後、ほかの品目を加えることもあり得るようだ。

京阪神に生活用水を供給する琵琶湖の管理を国から受託する滋賀県は環境規制が厳しく、三日月大造知事はサーキュラーエコノミーの確立を県政の主要課題の一つに掲げる。同氏は10月22日の記者会見でリペアチャレンジについて「資源循環のポテンシャルを最大限に生かす経済モデルをつくり発信する(ための)一歩だ」と話した。

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