タマノイ酢は地場の小売店や外食店を開拓するためバイヤー向け展示会にも積極的に出展(9月、中国・瀋陽市)

中堅食酢メーカーのタマノイ酢(堺市)は、中国で酢関連の調味料を拡販すると発表した。このほど現地の生産委託先と合弁の販売会社を設立した。中国では「日式」と呼ばれる日本流の調味料の人気が高まっており、現地の嗜好も取り入れた商品を共同で開発するとともに、スーパーなどの販路を開拓する。

わさび、しょうゆなどを生産する大連天鵬食品(大連市)と共同出資で「玉之井(北京)商貿」を設立した。資本金は17万元(360万円)。出資比率は非公表だが、「イコールパートナーとして運営する」(播野貴也・タマノイ酢社長)。ほかに日本から商品を輸出する際の窓口となる商社、丸王(東京・港)も加わった。

タマノイ酢は中国で大連天鵬に食酢の生産を委託し、日系の外食店チェーンに供給している。だが自前の販売拠点を現地に持っておらず、一般消費者や地場の外食店はほとんど開拓できていない。今回の合弁により、大連天鵬が中国全土に持つ卸やスーパーのネットワークを活用できるようになる。

中国では香酢といわれるもち米の酢が一般的だが、日本食ブームを背景にコメを原材料に用いた日式の酢への関心が高まっている。両社は酢そのものに加えてダシ、タレ、つゆなど酢関連の調味料を共同開発する。日本と同じ商品では受け入れられない場合があるため、現地の嗜好も取り入れる。

タマノイ酢はかつて中国に100%出資の販売会社を設立したことがあるが、商慣習の違いから振るわず、撤退した経緯がある。現在、同社の売上高に占める海外比率は5%で、欧州、米国、オーストラリアが中心。中国、東南アジアも伸ばすことで「5年以内に10%に高めることを目指す」(播野社長)。

タマノイ酢は1907年創業の老舗。売上高は公表していないが75億円程度とみられ、食酢ではミツカン、キユーピー醸造(東京都調布市)に次ぐ規模。

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