
国内製薬企業の労働組合でつくる医薬化粧品産業労働組合連合会(薬粧連合)は28日、物価上昇への対応や十分な賃上げの実現のために薬価を引き上げるように要望した。薬価が毎年下がる現状は「コストカット型経済そのものだ」と指摘し、物価上昇に合わせた対応を求めた。
都内で同日開いた国会議員向けのフォーラムで要望した。薬粧連合所属の労組は直近の賃上げ率が4%前半にとどまり、経団連に所属する大企業の5.39%を下回った。
薬価は公定価格のため、製薬企業は原材料費や人件費の増加分を転嫁できない。毎年のように薬価は引き下げになっており、薬粧連合の松尾仁雄会長は「薬価が社会保障費の調整弁となっている」と苦言を呈した。
医薬品の安定供給につながる設備投資への支援やセルフメディケーション税制の改良についても求めた。ワクチンの誤情報が出回った際に、企業が安全性に関する情報を発信しやすくなる仕組みも必要だと言及した。製薬業界の業界団体である日本製薬団体連合会も薬価のベースアップを要望した。
フォーラムに参加した自民党の田村憲久元厚生労働相は「診療報酬改定や薬価改定について新しい方向性を打ち出す必要があるとの考え方は与野党とも同じではないか」と語った。国民民主党の玉木雄一郎代表は「薬価を下げて財源を捻出するというこれまでの財政の考え方を変える必要がある。賃上げができる環境をつくるのが政治の役割だ」と述べた。
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