キッズウェル・バイオは29日、免疫の働きを抑える「制御性T細胞」を使った自己免疫疾患などの治療法開発に向け、同社子会社と東京科学大学が共同研究契約を結んだと発表した。子会社のS-Quatre(エスカトル)が研究開発する幹細胞と共に培養すると制御性T細胞を安定化できるとしており、治療に活用しやすくなるとみる。

制御性T細胞は免疫の暴走を抑える役割があり、十分に働かないと自身の組織や臓器を傷つける自己免疫疾患になると考えられている。働きを調節できれば免疫に関わる病気を治療できると期待され、国内外で研究開発が進む。細胞を発見した大阪大学の坂口志文特任教授は2025年のノーベル生理学・医学賞の受賞が決まった。

キッズウェル・バイオグループは乳歯に含まれる幹細胞の研究開発を進めており、数年前から制御性T細胞との関係を調べていた。今後制御性T細胞を用いた治療を実用化する際、同社の幹細胞を使えば制御性T細胞を安定して製造しやすくなるとみる。

東京科学大で免疫分野を研究する田中ゆきえ准教授と共同研究し、自己免疫疾患や臓器移植後の拒絶反応の根本治療を開発することを目指す。

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BUSINESS DAILY by NIKKEI

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