
住友商事が31日発表した2025年4〜9月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比19%増の3012億円だった。大口案件の引き渡しがあった不動産や米タイヤ事業の売却益計上が押し上げた自動車など、非資源分野が好調だった。石炭価格の下落などで資源事業は低迷した。
純利益は事前の市場予想平均(3036億円)は下回った。取引時間中の発表を受け、株価は一時前日比4%安の4475円まで下がった。
増益をけん引したのは非資源分野だ。純利益から一過性の利益を除いたベースでの非資源の全体に占める比率は82%と前年同期の75%から上昇した。
事業別にみると、自動車、不動産など都市総合開発、メディア・デジタルが好調で、増益幅はそれぞれ300億円、236億円、134億円だった。輸送機・建機も増益だった。前年に売却益を計上していた反動があった海外発電などエネルギー関連、油価下落が響いた北米の鋼管事業も振るわなかった。資源事業は石炭や鉄鉱石の価格下落などで減益だった。
26年3月期通期の業績予想は据え置いた。純利益は前期比1%増の5700億円と過去最高を見込む。今回、米関税政策による世界景気後退のリスクなどを踏まえた「バッファー」について、期初想定の400億円から200億円に減らした。エチオピアの通信事業などの低迷を踏まえた。
27年3月期までの3カ年の中期経営計画については、上野真吾社長が決算説明会で「(目標純利益)6500億円は十分達成可能な数字」と話した。航空機リース大手の米エアリースを他社と共同で約3000億円で買収するほか、連結子会社でシステム開発大手のSCSKも総額約8820億円で完全子会社化する。一方で低迷していた北米のメロン販売事業を10月に売却するなど、資産入れ替えも強めている。
課題のマダガスカルのニッケル鉱山「アンバトビー」については、上野社長は「操業は非常に順調に進んでいる。懸念していた追加拠出は一切なかった」とした。
中計の投資額は予定していた1.8兆円を超える見通し。投資については金融機関からの借り入れなども行い、厳選して継続していくという。株主還元方針は「総還元性向40%以上と累進配当は守っていく」。株主還元後のフリーキャッシュフローの黒字化という目標を掲げていたが、これは29年3月期までに延ばした。
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