
いわき信用組合(福島県いわき市)は31日にいわき市内で記者会見を開き、2025年6月に設置した特別調査委員会が指摘した反社会的勢力との関係を認め謝罪した。調査委員会の報告からは、20年にわたる反社への資金提供や連れだっての海外旅行など、異常な関係が明らかになった。
「深くおわび申し上げます」。会見冒頭、金成茂理事長はこう話した。同日に特別調査委員会が公表した調査報告書によると、信組と反社との関係は遅くとも1990年代に始まり、弱みを握られる社員などがいたという。
江尻次郎前会長は理事長就任後「合計10億円前後」を反社に支払ったと認めているという。街宣活動を止めるため、反社とみられる関係先に資金を提供したことなどがきっかけとなり、2016年ごろまで現金の支払いが継続。関係は断続的に20年に及んだ。
この間、反社の脅しに屈した半面、社員を交え海外旅行に出かけていた。記者会見に出席した特別調査委員会委員長の貞弘賢太郎弁護士は「反社との関係を明かされ驚いた」と話した。
今回の報告書では、迂回融資が始まった04年3月から25年3月末までに不正融資に使われた資金の総額は279億円と判断。外部に流出した資金約25億5000万円のうち、9億4900万円が反社勢力に流れたと結論づけた。流出した資金の一部は反社勢力により違法ギャンブルなどで浪費された可能性があるという。

いわき信組は資金の流出に、迂回融資や預金者に無断で開いた口座への架空融資を活用していた。知人企業などに必要より多く融資し、水増し分を反社勢力に渡すなどの水増し融資という手法も今回明らかになった。
特別調査委員会は6月から不正融資の事前調査で判明しなかった「8.5億円〜10億円」の使途不明金の行方を調べ、関係者への聞き取りなどから流出先を特定した。

同日に開いた信組の総代会に出席した総代の一人は「相手は反社。失望もない」とさじを投げた。地域金融機関のトップも「同じ金融機関として信じられない」と驚きを隠さない。
金成理事長は会見で「旧経営陣との決別、反社との関係遮断、旧経営陣への告訴をやりきる」と誓った。今後不正な資金流出を招いた旧経営陣を民事・刑事両面で責任を問う考えという。とはいえ、業務改善計画の進行はこれからだ。経営の健全化を図れるか、正念場を迎えている。
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