
九州電力は31日、2026年3月期の連結純利益が前期比9%増の1400億円になる見通しだと発表した。7%減とした従来予想を200億円上回り、一転増益となる。夏の気温が高く冷房による電力需要が想定以上に増えた。燃料価格の下落によって、価格変動が電力料金に遅れて反映されて生じる「期ずれ差益」が伸びた。
経常利益は2%減の1900億円と、従来予想を300億円を上回る見通し。電力需要の高まりと期ずれ差益の増大でそれぞれ150億円、90億円の増益効果を見込む。年間配当予想は50円で据え置いた。
ただ、売上高の見通しは5%減の2兆2500億円で据え置いた。燃料価格の下落による電力販売収入の減少によって相殺される。
原子力発電所の稼働率(設備利用率)は82%と期初予想から2ポイント低下する見込みだ。玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の定期検査中に発生したトラブルで検査期間を延長したことが響く。発電電力量は7億キロワット時減少し、約60億円の減収要因になる。
同日発表した25年4〜9月期の連結決算は、純利益が前年同期比66%増の1232億円だった。新電力など小売電気事業者が増えたことで託送料金が増加したほか、火力発電所の燃料構成に占める石炭の割合が増加したことにより燃料費が減少した。原子力発電所の定期検査に関する修繕費用も減少した。
売上高は2%減の1兆1277億円だった。電力小売りの競争が激化したことで販売電力量が減少した。
西山勝社長は31日の決算記者会見で「豊富な再生可能エネルギーと安定した原発、再エネの変動を火力で補うという、九州の電源特性が反映された」と手応えを語った。
5月に公表した長期ビジョンでは31年3月期の連結経常利益で1800億円を目標としており、26年3月期見通しの1900億円は既にそれを上回っている。「天候など一過性の要因を除くと1600億円強だろう。達成にはまだまだ成長が必要だ」と気を引き締めた。
九電は火力発電の燃料などに使うLNGに関して、長期契約で1年に調達する223万トンのうち2割をロシア極東の資源開発事業「サハリン2」に依存している。
西山社長は「サハリン2は日本から非常に近い。一方でリスクも踏まえて、北米からの調達も検討している」と話した。
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