 
      投資用不動産のシェアハウスを巡る不正融資で多額の損失を招いたとして、スルガ銀行(静岡県沼津市)が旧経営陣に総額35億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、静岡地裁(日野直子裁判長)は31日、「合理的な根拠がない融資を停止する義務があったのに怠った」などと一部責任を認め、創業家出身の岡野光喜元会長ら6人に対し、連帯して13億3521万円を支払うよう命じた。
不正融資の舞台となったシェアハウスは管理事業者がオーナーから物件を借り上げて運営し、同行の融資(シェアハウスローン)で物件を購入したオーナーに一定の家賃収入(サブリース料)が入る仕組みだった。だが2017年以降、入居者が集まらず管理事業者が破綻。オーナーから同行への債務返済も滞り、同行は巨額の損失を計上した。
判決は、旧経営陣が開いた17年7月の会議で、シェアハウスローンのリスクは表面化しており、遅くとも同年8月には新規融資を停止できたと指摘。巨額の損失は「取締役らが融資実行を停止していれば発生しなかった」として、債権保全に係る旧経営陣の監視監督義務違反などを認定した。
賠償額については、同月以降に融資が実行された約36億円のうち、回収不能が確定した約13億円とした。
同行の不正融資は第三者委員会でも調査され、シェアハウスローンの審査でオーナーの預金残高や家賃収入見通しの改ざんがまん延していたのにもかかわらず、経営陣が調査を怠ったと報告。同行はこれを踏まえ、18年11月、銀行に損害を与えたとして岡野元会長ら9人を相手取り提訴した。
静岡地裁は判決で、6人に賠償を命じる一方、2人に対する請求は棄却した。残る1人は1000万円の解決金を支払う内容で和解が成立している。
判決を受けて、スルガ銀行は「旧取締役が当社に損害賠償責任を負う司法判断が下され、法的責任が明確化された」とのコメントを発表。旧経営陣の代理人は「判決を精査し、今後の対応を検討する」としている。【藤渕志保】
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