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【ヒューストン=大平祐嗣】米製薬大手ファイザーは3日、デンマーク製薬大手のノボノルディスクを提訴したと発表した。ファイザーが買収で合意していた米肥満症治療薬を開発する新興企業のメッツェラに対し、ノボが対抗して買収提案を出したことを問題視した。ノボは肥満症薬で先行しており、買収は独占につながると主張している。

ファイザーはノボによるメッツェラ買収が反トラスト法(独占禁止法)違反にあたるとして、米東部デラウェア州の連邦地方裁判所に提訴した。買収の横取りを仕掛けたノボに対して法廷闘争に持ち込んだ形となる。

ファイザーは9月、メッツェラを最大73億ドルで買収することで合意していた。これに対し、肥満症薬大手のノボは10月30日に最大85億ドルで対抗する買収提案を出した。ノボは肥満症薬開発で先行しており、対抗する買収計画を認めると市場の支配力が強まるとの主張だ。ファイザーは肥満症薬で出遅れている。

ファイザーは3日、ノボの買収提案について「支配的地位を守るための反競争行為だ」と主張した。今回の提訴は反トラスト法違反が主眼で、ファイザーは10月31日にもメッツェラが買収契約の義務を違反しているとしてすでに提訴済みだ。

ノボは「ファイザーの主張は根拠がなく、いかなる訴訟にも断固として抗弁していく」、メッツェラは「ファイザーは訴訟を通じてノボよりも低い価格で買収しようとしている。法廷で対処する」とコメントした。

米ゴールドマン・サックスによると、世界の肥満症薬の市場規模は2030年までに950億ドルに拡大する。成長市場をめぐり製薬会社の競争が激化しており、買収合戦は法廷闘争へと発展する事態を招いている。

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