食卓に欠かせないタマネギが記録的な猛暑で不作となり、北九州市内でも価格が高騰している。青果卸売業「小林青果」(小倉北区)の担当者は、「過去にないほどの不作。例年の倍近い単価になっている」と危機感を示す。【井土映美】
国産のタマネギの約6割は、北海道で生産されている。今季の北海道は6月下旬ごろから気温が上昇。30度を超える真夏日が過去最多の計32日に達し、中でもタマネギの一大産地である北見市では7月に39度を観測した。
小林青果によると、地域によっては降雨も少なかった。タマネギが大きく成長する7、8月に干ばつ状態となった地域では、葉が枯れて玉が成長しなかった。豊作年には販売規格全体の半数近くを占めるL大サイズ(直径約9センチ)が今年は2割ほどにとどまり、一回り小さいLサイズ(同約8センチ)が中心となった。小ぶりで収穫量が大幅に下がったため、同社ではMサイズ(同約7センチ)に加え、これまで取り扱わなかったSサイズ(同6センチ以下)も卸売りすることにした。
農林水産省の青果物卸売市場調査などによると、10月2日の東京都中央卸売市場のタマネギの卸売価格は1キロ203円で、平年値(106円)と比べて大幅に高騰している。新型コロナウイルスの影響などにより高騰した21年でも、10月時点では1キロ120円だったため、その頃と比べても単価が上がるのが早く、今後さらに右肩上がりで高騰が見込まれるという。
小林青果は北九州市内で約20店のスーパーマーケットに青果を卸しており、倉庫には出荷予定のLやMサイズのタマネギの箱が並ぶ。例年は店頭でL大サイズは3玉198円ほどで売られていたが、Lサイズに落ちても258円ほどの売値となる見込みだ。同社の末嶋美則専務は「4月ごろまでは高値が続くのではないか。消費者の皆さんには産地の状況を理解して購入していただきたい」と話した。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。