トヨタ自動車は5日、2026年3月期の連結業績予想を上方修正し、本業のもうけを示す営業利益は従来予想を2000億円上回る3兆4000億円(前年同期比29・1%減)、最終(当期)利益は2700億円上回る2兆9300億円(同38・5%減)になる見通しだと発表した。トランプ米政権による関税措置の影響が利益を押し下げているものの、日本や北米を中心に販売そのものは好調で、業績を下支えする。
売上高は8月時点の従来予想から5000億円引き上げて49兆円(前期比2・0%増)を見込む。関税措置の影響額は、通期の営業利益ベースで1兆4500億円を織り込んだ。15%の関税が適用される時期を、これまで8月からと仮置きしていたが、実際は9月半ばにずれ込んだことを踏まえて500億円増えた。
東京都内で記者会見した近健太最高財務責任者(CFO)は「外部環境ではいろいろある」としたうえで、販売面では引き続き「世界中から強い需要がある」と強調した。利幅の大きい車種の比率を高めるほか、原価改善も進めるなどし、9000億円強の増益要因を生み出すとしている。通期の想定為替レートは1ドル=146円(従来は145円)、1ユーロ=169円(同160円)と、いずれも円安方向に見直した。
下半期はオランダの半導体メーカー、ネクスペリアの輸出制限問題が懸念材料だ。部品不足によりホンダがメキシコの工場を停止し、日産自動車も国内で減産を予定するなど影響が出始めている。近氏は「代替品がどういうものを使えるか調査しながら、影響を注視している」と述べた。
同時に発表した9月中間連結決算は営業利益が前年同期比18・6%減の2兆56億円、最終利益が7%減の1兆7734億円で、認証不正問題による生産停止などが響いた前年同期に続き、中間期として2年連続で減益だった。売上高は5・8%増の24兆6307億円。【鶴見泰寿】
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