
オリンパスが7日発表した2025年4〜9月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比40%減の291億円だった。円高にくわえ米国の関税が重荷となり、内視鏡などの輸出コストが膨らんだ。同日、27年3月期までに国内外で2000人の人員を削減すると発表した。採算を改善し、関税影響も和らげる。
4〜9月期の売上高は4%減の4543億円、営業利益は35%減の461億円だった。実勢の為替レートは1ドル=約146円と前年同期より7円ほど円高となり、営業利益からその他の収益及び費用を除いた調整後営業利益を111億円押し下げた。米国の関税影響も業績の重荷となった。内視鏡などの対米輸出コストが増加し、調整後営業利益を約90億円圧縮した。
消化器内視鏡を主力とする事業の営業利益は31%減の534億円だった。北米では内視鏡スコープの新製品の発売を待った買い控えが出た。競合の富士フイルムホールディングスや現地メーカーとの価格競争の激化が続く中国でも販売が低調だった。泌尿器や呼吸器向け事業は営業損益が41億円の赤字だった。円高が逆風となった。
26年3月期通期の業績見通しは従来予想を据え置いた。売上高は微増の9980億円、純利益は20%減の940億円を見込む。製品開発を強化する目的で研究開発費を積みましたことに加え、米国の関税影響で増加した内視鏡の輸出コストが重荷となる。

通期の市場予想平均の純利益(QUICKコンセンサス、873億円)は会社計画を下回っているが、下期に向けて反転の兆しもある。UBS証券の葭原友子アナリストは「米国では新しい内視鏡スコープへの買い替え需要が見込める。中国では現地生産が立ち上がり、内視鏡のシェアを奪還しつつある」と話す。
同日、新たな経営戦略を発表し、29年3月期を最終年度とする3カ年の財務目標を示した。27年3月期から年平均の売上高成長率と営業利益率を1ポイントずつ改善することを目指す。市場では「事業環境が厳しさを増す中、目標達成へのハードルは低くない」(野村証券の森貴宏リサーチアナリスト)との声が聞かれた。
利益目標の達成や採算改善のため、人員削減を実施する。全従業員2万9056人(25年9月末時点)の約7%にあたる2000人を国内外で削減する。具体的な地域ごとの人数などは公表していない。
具体的な削減策は今後明らかになる見通しだ。削減は26年3月期中に始め、27年3月期末までに完了する。28年3月期には人員削減前に比べ約240億円のコスト削減効果を見込んでいる。
人員削減含む一連の構造改革に関連し、27年3月期までに一時費用が発生する。そのうちの120億円については、26年3月期通期の見通しに織り込み済み。
ボブ・ホワイト社長兼最高経営責任者(CEO)は「組織の構造が今は複雑になりすぎている。組織を合理的かつ簡素にする」と話した。
米食品医薬品局(FDA)による査察については、26年3月期中に一部を完了する予定とした。FDAは6月に品質管理の規制違反を指摘し、同社の一部の医療機器に輸入警告を出している。主力の内視鏡に警告が波及するリスクも残る中、ホワイト氏は「品質と法規制対応を徹底しながら、生産性と利益率の向上を実現する」と話した。
【関連記事】
- ・オリンパスのホワイト社長、米関税対策へ「調達や価格見直しも」
- ・オリンパス、3人目の外国人社長に成長託す 総会で選任案が可決
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。