
米半導体大手のオンセミは窒化ガリウム(GaN)製パワー半導体で、高電圧に対応できる新製品を開発したと発表した。従来品と比べ電力損失を半減できるという。人工知能(AI)用データセンターや電気自動車(EV)、再生可能エネルギー発電所などに使うことを想定する。近くサンプル出荷を始める。
パワー半導体は電圧の制御に使われ、素材にシリコンではなくGaNを使うことで電力損失を抑えられる。パワー半導体の性能が上がると電力効率が上がるほか、電圧安定用の部品が不要となり、最終製品を今までよりも小さく設計できる。
これまで実用化されたGaN製品は、シリコン基板などの上にGaNの結晶を形成して電気が横に流れる「横型」だった。オンセミは基板の素材もGaNにして、その上にGaNを積んで垂直に電気が流れる「縦型」を開発した。横型よりも大電流・高電圧に対応でき、オンセミは電圧700ボルトや1200ボルト用の製品をサンプル出荷する計画だ。
パワー半導体は上位10社のうち日本企業が4社を占めるなど一定の存在感がある。縦型GaNは日本の大学や素材メーカーも研究しており、豊田合成は結晶生成から基板、デバイスまで一貫した開発を進めている。生産コストが高いことや、基板の大型化が技術的に難しいとされていることが課題だ。
オンセミは自動車用半導体などを手掛けており、日本の車メーカーとも取引がある。他社から縦型GaNの知的財産(IP)や工場を取得して今回の新製品開発にこぎつけた。
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