首相官邸に掲げられた日の丸=東京都千代田区で2023年1月11日午前10時39分、竹内幹撮影

 政府が近く策定する経済対策の素案が10日、政府関係者への取材で判明した。地方自治体が使える「重点支援地方交付金」を拡充し、プレミアム商品券や地域で活用できるマイナポイントなどの発行を推奨して消費を促す。高市早苗首相肝いりの外国人政策に関しては、外国人に対する査証(ビザ)の発行手数料を引き上げるとともに「難民認定申請対策を強化し、適正な出入国在留管理を実現する」と明記。外国人などによる不動産取引の動向把握を強化し、全国の不動産・土地取引の実態調査や分析に着手する。

 日米の関税交渉で協力に合意した国内造船業の再生については「総額1兆円規模の投資を実現」と掲げ、次世代砕氷船など先進船舶の設計技術の開発などを推進する。その他の経済安全保障分野では、新たに船体やドローン、人工衛星、ロケットの部品などを特定重要物資に指定し、外国依存や供給途絶のリスクが生じないよう支援する。

 米関税措置の影響を受ける中小企業への資金繰り支援は、日本政策金融公庫などの「セーフティネット貸付」で、売上高か利益率が5%以上減少した事業者を対象に金利を引き下げる。日米関税交渉で合意した対米投資5500億ドル(約80兆円)の着実な履行に向けては、国際協力銀行(JBIC)と日本貿易保険(NEXI)に財政措置を行う。

 経済対策の方針については「経済成長を通じて税収を増やし、成長率の範囲内で債務の伸びを抑制し、結果として政府債務残高の対国内総生産(GDP)比を引き下げる。必要な政策を果断に実施するための歳出を躊躇(ちゅうちょ)せず行う」と「積極財政」の姿勢を鮮明にしている。【古川宗、中島昭浩】

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